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2018年9月、米ウーバーテクノロジーズと提携、業界にインパクトを与えたタクシー会社、フジタクシーグループ(名古屋市西区)。同社は配車システムのデジタル化などを進めてきたが、今ならウーバーとの提携が効果的と考え、これを実現。業界では問題視されがちな同サービスも、保守的な業界を変えるツールになるとする梅村尚史代表。同氏に、タクシー会社が永く生き残っていくための経営について聞いた。

フジタクシーグループでは、2018年9月から米ウーバーテクノロジーズ(ウーバー)と提携し、スマートフォンのアプリ「Uber」でフジタクシーのクルマを呼べるようになりました。その経緯を教えてください。

梅村:10年前、先代が代表だった頃からスマートフォンでタクシーを呼ぶような時代が来るという話を社内でしており、Uber以前にも「SMART」や独自開発の「フジどこ」というスマートフォンを使った配車システムを導入していました。クルマにスマートフォンを乗せ、これで配車を受けるシステムです。

 従来、タクシー業界はアナログ無線で配車していましたが、今は無線もデジタル無線かIP無線(インターネットプロトコル無線)です。当社はそれらに代わり、携帯端末を使ったということです。しかしながら、時代の流れに投資が追い付きませんでした。

 そこで独自に開発するのは諦めて、ウーバーのシステムを利用するようにしたということです。

梅村尚史(うめむら・ひさし)
株式会社フジタクシーグループ代表取締役。1979年名古屋市生まれ。大学卒業後、名鉄名古屋タクシー入社。2003年、フジタクシーグループ入社。ドライバー、営業副本部長、専務などを経て13年から現職。大学時代はラグビーなどスポーツに打ち込み、今でも根は体育会系と言う。公職に運輸デジタルビジネス協議会会長理事(写真:上野英和)

上客は乗るタクシー会社を決めている

従来の配車には何か課題があったのでしょうか。

梅村:コールセンター側は、お客様から電話があればドライバーに対して、無線で「どこどこへ行ってください」と依頼し、ドライバーもそこへ行きます。ところが行った先で、お客様に長時間待たされたりすると、ドライバーはだんだん無線を取らなくなっていきます。

 もともと名古屋は“流し営業”が主流で、弊社もそうした仕事のやり方を教育してきたという経緯もあります。以前、運賃を他社より安く設定していたこともあり、流している際にお客さんに選んでもらえて、流しだけでも十分売り上げを得られるという側面がありました。

 無線で呼ばれるニーズを大切にして、ドライバーが無線を取らないことに厳しく対処しているタクシー会社もあります。当社の場合は、流しも大切ですが、今後ますます迎車も大切になることには違いありませんので、ドライバーに進んで無線を取ってもらうにはどうしたらよいか考えたのです。

 迎車が大切なのは、例えば、夜の繁華街で働かれている女性の方など毎日タクシーに乗られるような上客は、使うタクシー会社を決められている方が多いからです。そこで私たちとしては、そうしたお客様に当社を選んでいただけるような付加価値をつくっていくことが経営上の最善策なのです。