それは、どういうことでしょう?

笹木:PRの仕事って、うっかりすると自己主張ばかりになりがち。テレビ局などに「私たちのコレを見て!コレを知って!」と、一方的にリリースを送ってしまう。

 でも、そんなことをする前に、ホームページをじっくり見れば、「私たちはこういう情報を求めています」という、先方のニーズがきちんと書いてあって、それに合わせて情報提供をしたほうが互いにメリットがある、ということがよくあるんです。番組のホームページをチェックするのは、基本中の基本ですが、どこまで細かく見られているかというと……。そこの甘さを、野呂さんに突かれた感じ。

野呂:あの番組には、1カ月でオレのクライアント3社が出たからね。番組名は絶対に内緒だぞ!

笹木:でも、野呂さんのブログに、番組名、出ていますよ(笑)。

野呂:そうか。まあ、基本は、モテたい、ということなんだろうね。女の子にモテたいけど、誰もが福山雅治さんみたいなルックスじゃないからね。そこで、どう頑張るかというと、相手が笹木さんだったら、笹木さんが喜ぶことを徹底的に考えて、まめにやる。それがPR。

笹木:『プレスリリースはラブレター』。野呂さんの著書のタイトルですね。刊行から10年以上たちますが、PR業界では定評ある1冊。私も熟読しました。

2009年刊行の野呂さんの著書
2009年刊行の野呂さんの著書

最近のPR業界では、SNSの台頭が著しいです。

野呂:確かにオレ自身、今はブログから仕事が入る。月に2件とか3件とか。実は今、諸事情から自分の会社のホームページがなくなっちゃったんだけど、ブログからお客さんが来るなら、そのままでいい気がするし、そのうちSNSだけでよくなるかもしれない。

放送法改正で、テレビはいよいよ要らなくなる

 新型コロナウイルスに隠れているけれど、この3月は、PR業界には大ニュースがあって、それはテレビ番組のネット同時配信のスタート。去年5月の放送法改正で解禁されたのを受けて、3月1日からNHKが始めて、そのうち民放も始めるはず。そうなると、スマホの画面でテレビ番組が見られる。もう誰もテレビなんて買わなくなっちゃうんじゃないかな。

 オレも、2011年くらいまでは、なんだかんだいって、まだテレビには影響力はあるから大丈夫かな、と思っていたけど、今となってはかなり疑わしい。世の人たちにとって、今やスマホが情報のすべてで、スマホに入っていないものは、世界に存在しないも同じってことになるんだろうね。

 SNSに関しては、笹木さんに聞いて。去年の年末、笹木さんの本(『0円PR』)を読んで、すっごく勉強になった。

 笹木さんは、偉いよね。エアウィーヴでの実績も抜群だし、持論を図にまとめたり、丁寧にステップに分けて教えたり。オレには絶対、できない。

笹木:私には、野呂さんみたいな爆発力はないので、その分、地道に(苦笑)。ただ、PRを再現性の高いスキルにして広めたいという思いはあって、経営者の方には、会社のSNSは、思い切って若い社員に一任してくださいとお話ししています。

 けれど、それ以前に、そもそも経営陣にSNSに対する抵抗感が強い、というケースも多くて、悩みどころです。

<span class="fontBold">笹木 郁乃(ささき・いくの)</span><br> 1983年生まれ。山形大学工学部卒業後、アイシン精機で研究開発に従事。寝具メーカー・エアウィーヴ(東京都中央区)の第1号正社員として、高岡本州社長と共にPRに注力。売上高を5年で1億円から115億円に伸ばす急成長に貢献。鍋メーカー・愛知ドビーを経て2017年、ikunoPR設立、2019年、LITAに社名変更。経営者やフリーランス、企業の広報担当者にPRスキルを伝える「PR塾」を主催(写真:栗原克己)
笹木 郁乃(ささき・いくの)
1983年生まれ。山形大学工学部卒業後、アイシン精機で研究開発に従事。寝具メーカー・エアウィーヴ(東京都中央区)の第1号正社員として、高岡本州社長と共にPRに注力。売上高を5年で1億円から115億円に伸ばす急成長に貢献。鍋メーカー・愛知ドビーを経て2017年、ikunoPR設立、2019年、LITAに社名変更。経営者やフリーランス、企業の広報担当者にPRスキルを伝える「PR塾」を主催(写真:栗原克己)

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