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 ご存じの方も多いと思いますが、確認のため。「AIDMA」とは……

 【A】Attention(注目)
 【I】Interest(興味)
 【D】Desire(欲求)
 【M】Memory(記憶)
 【A】Action(購入)

 

 の頭文字をつなげた言葉です。

 まず、私がペンを売っているとしましょう。ここで「笹木郁乃さんっていう人がいるんだ」とか「笹木さんはペンを売っているんだ」と知らせ、「注目」してもらうのが「Attention」。
 その次に、「笹木さんの売るペン、どういう機能があるんだろう」と「興味」を持ってもらうのが「Interest」。
 さらに「このペン、ちょっと欲しいな」と、「欲求」を持ってもらうのが「Desire」。
 そうこうするうちに、ペンのことが頭に残ります。こうして「記憶」してもらうのが「Memory」です。
 そして、実際に「購入」という行動に至るのが「Action」。

 かつては、このAIDMAに基づいて「セブンヒッツ理論」というものが提唱されていました。人は、同じ商品の情報に7回接すると、購入の確率が格段に上がる、ということです。

 このAIDMAとセブンヒッツ理論に基づいて、テレビや雑誌、交通広告など、いろんなところで何回も広告を打ちましょう、というのが、一昔前まで、マーケティング業界の典型的なロジックでした。

 つまり、「自社商品の情報との接点をとにかく増やせば、記憶に残り、購入に至る」ということです。

 ところが、このAIDMAがどうも、現状に合わなくなってきました。

昔は、消費者が商品やサービスの存在を「記憶」することが、購買につながるとされた。だが、情報が過剰になっている現在、消費者が記憶するのも困難になっている

「ガラケーの10年」で情報量は530倍に

 皆さんは、私たちが1日に接する情報の量がどのくらい増えたと思いますか。

 総務省の統計(「平成18年度情報流通センサス報告書」)によると、1996年から2006年の10年間で、テレビやパソコン、携帯電話などを通じて、私たちが接する情報量は530倍になったといいます。古い話ではありますが、いわゆるガラケーとインターネットが普及した2000年前後だけで、これだけ大きな変化が起きていたのです。
「ガラケーの10年」で530倍。
 その後については、単純比較できる統計が乏しいのですが、スマホや動画配信の普及で、身の回りを流れる情報量が、どんどん増えていることは間違いありません。