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羊一:内モンゴル旅行で井上さんと語り明かしたあのころは、僕には、何か「孫正義に対するアンチテーゼ」みたいな感覚があって。

井上:それは、すごく感じたよ。

羊一:アンチといっても、孫さんが嫌いなわけじゃなくて、孫さんは孫さん。

井上:俺は俺、ね。

羊一:そう。孫さんは希代の経営者でいらっしゃるし、最先端を走る異能を育てるし、1番にとことんこだわる。けれど、僕はそうじゃなくて、異能だとかそれ以前に、ただもんもんとしている人たちもたくさんいて、そういう人たちに力を与えたという思いがあって。

嫌いで別れるわけじゃない

井上:それぞれに違う道がある。今年はソフトバンクアカデミアができて10年目だけど、アカデミアが育ててきた「孫正義の後継者」というのは、「孫正義ダッシュ」じゃないんだよね。孫正義のそっくりさんをつくりたいわけじゃない。

 羊一さんもそうだし、前田鎌利さん(一般社団法人継未-TUGUMI-代表理事、書家)も、林要さん(GROOVE X代表取締役)も、孫さんの思いを引き継ぎながら、それぞれの道で頑張っている。

羊一:そうです、そうです。それでたまたま、孫さんの会社に入っていった人もいれば、出て行った人もいるけれど。

井上:根っこのところではつながっている。志は同じ。

羊一:間違いなく言えることは、みんな、孫さんと出会ったことで明らかに人生を変えています。

井上:確かに。あれほどほかの人の人生を変えてしまう人はいない。

前編は、ここまで。次回、後編は「孫正義」の存在によって、羊一さんの人生はどう変わっていったのか。そこから「孫正義論」を深めます。

(写真:菊池一郎)

(構成:小野田鶴=日経トップリーダー

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表紙揮毫(きごう)は、書家・前田鎌利(ソフトバンクアカデミア第1期生)。