エアウィーヴはもともと、釣り糸などを製造していた赤字の中小企業の立て直しを、高岡社長が任されたのが始まり。くしゅくしゅっと絡まった糸を見て「いいクッション素材になるのではないか」とひらめき、マットレスパッドを開発したのです。試行錯誤の末に、素晴らしい商品ができました。

 しかし、まったく無名のメーカー。どうやって認知度を上げ、売り上げを伸ばしていくのかが何よりの課題。そこで着目したのが、コストのかからないPR活動でした。

 そんな生まれたばかりのベンチャー企業を、社長と二人三脚で大きくしていくという仕事には、ものすごいワクワク感があって、第1号正社員として飛び込みました。

 その後、フィギュアスケートの浅田真央さんが愛用されていることが分かって、エアウィーヴは大ブレイクするわけです。

 が、そこまでは結構、長い道のりでした。

「いきなり真央さん」は無理だから

 無名のベンチャーが、いきなり浅田真央さんのような超・有名人に使ってもらうのはもちろん無理です。できるところから少しずつクチコミの評判を広げていこう。そんな戦略で、ご縁のあったアスリートやトレーナーさんなどに試しに使っていただき、感想を尋ねました。いいフィードバックがもらえたら、それを武器に「○○さんにも『これはいいね!』と、言っていただいたんです」とPRして、別の方にも使っていただく。

 そういう地道な活動を重ねるうちに、フィギュアスケートのトレーナーさんに使っていただき、浅田真央さんにご推薦いただくことになりました。そして実際に使っていただいたら……、気に入っていただけたのです! それから実際にお会いして、浅田さんのために作ったカスタマイズ版をプレゼント。その後、浅田さんが海外遠征にも毎回、持ち込んでくださっていると聞きました。

 そうしたらあるとき、空港で浅田さんが持ち歩いているのがテレビに映って話題に! この頃から、ほかのPR戦略も成果を上げ始め、売り上げが上昇基調に。そしてとうとう浅田真央さんとCM契約するに至ったのです。

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