大企業とはひと味違う、中小企業の幹部にとっての財務の必修スキルとは何か。

 答えは、P/L(損益計算書)やB/S(貸借対照表)だけを学んでいては分からない、「○○○○計画表」の作り方――。

 その重要性は、昭和の昔から令和の今に至るまで、良識ある経営者やコンサルタント、銀行員が、口を酸っぱくして説き続けているが、ワンマン社長はなかなか学びたがらない。だからこそ、幹部は自社と自分を守るため、しっかり学んでほしい。

 銀行員から中小企業の幹部や上場企業取締役、コンサルタントなどを経て、今は中小企業の社長を務める著者が、熱いメッセージを込めて、シンプルで実践的な演習問題から説き起こす。

 中小企業の幹部には必修の財務スキルがあります。

 本稿では、1つのクイズと、2つの演習問題を通じて、その重要性を再確認したいと思います。

 「再確認」と申し上げるのは、この財務スキルの重要性は、昭和の昔から令和の今に至るまで変わっていないからです。

ビジネス書では取り上げない必修スキル

 最初にクイズです。そもそも、私の考える「中小企業の幹部にとって必修の財務スキル」とは、何でしょうか。

 すぐに察する方も少なくないと思いますが、ヒントも挙げます。

 第1に、一般的なビジネス書で取り上げられることは少ないです。
 第2に、財務3表のうち、P/L(損益計算書)とB/S(貸借対照表)との関係は薄いです。
 第3に、財務3表の残りの1つ、キャッシュフロー計算書に関わる問題です。

 ここまで申し上げれば、ほとんどの方が分かるのではないでしょうか。

「自転車操業」と「余裕ある財務」を分けるものとは何か?(写真=ナオ/PIXTA)
「自転車操業」と「余裕ある財務」を分けるものとは何か?(写真=ナオ/PIXTA)

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