変更は切り出しにくいが、手はある
では、振込手数料を取引先に負担してもらうにはどうしたらいいでしょうか。
新規取引先であれば、請求書に「お振込手数料は貴社の負担でお願いいたします」と明記しておくことです。これで、先方の経理担当者は振込手数料を負担して振り込んでくれるのが普通です。

これまで振込手数料を負担していなかった取引先に、今後負担してもらいたい旨を伝えたい場合はどう切り出せばいいでしょうか。
私はお客様に、こう言うようにアドバイスしています。
「会計事務所の先生に帳簿をチェックしてもらったときに、『振込手数料は、本来買い手が負担するものなので、一度お客様に負担していただくようお願いしてみてください』と言われたのですが……」
こう言って「うちは無理だよ」と拒否された場合は、速やかに引き下がりましょう。無理にお願いして取引そのものがなくなってしまったら元も子もありません。
このように1件ずつ交渉していくと、取引先が多い場合は、年間かなりの金額が手元に残ることになります。
振込手数料は金融機関によって差があります。ただ、中には一律800円を差し引いて代金を毎月振り込むような会社もあります。仮にこんな取引先が1000社あったら、年間960万円も損をしているともいえます。ぜひタイミングを見て、交渉してみてください。
(この記事は、書籍『会社を潰す社長の財務! 勘違い』を基に構成しました)
多くの中小企業を顧客に持つ会計事務所、古田土会計の代表を務める古田土満氏の新刊『会社を潰す社長の財務! 勘違い』が好評販売中です。
中小企業経営者が起こしがちな財務や経営の勘違いはいくつもあります。なぜ間違いやすいのか、正しくはどう対処すべきか。代表的な勘違い40個を取り上げ、古田土氏がズバリ指摘します。
<掲載している主な勘違い>
●財務のことは経理に任せている
●利益を2倍にするには、売り上げも2倍にする
●銀行が不動産購入を勧めるのは、信用があるから
●もしもに備えて、好業績でも賞与は出さない
有料会員限定記事を月3本まで閲覧できるなど、
有料会員の一部サービスを利用できます。
※こちらのページで日経ビジネス電子版の「有料会員」と「登録会員(無料)」の違いも紹介しています。
※有料登録手続きをしない限り、無料で一部サービスを利用し続けられます。
この記事はシリーズ「ベンチャー最前線」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。
Powered by リゾーム?