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約2200社の中小企業を顧客に持つ会計事務所、古田土会計の代表である古田土満氏の新刊『会社を潰す社長の財務! 勘違い』の中から、中小企業の社長によくある財務、経理処理の勘違いの1つとして、取引先などから代金を口座に振り込んでもらう際の手数料の扱いについての考え方を紹介する。

 小さなことに見えても、場合によっては年間百万円単位で、会社に残るお金に差が出るのが「振込手数料」です。

 取引先から商品代金などが振り込まれる際、振込手数料を差し引いた金額になっている場合があると思います。業界によってはこれが商慣習になっていて、疑問を持つ人は少ないかもしれません。私の顧問先でも、これに応じている社長が多いようです。中には、こうしたことを知らずにいる社長もかなりいます。

古田土 満(こだと・みつる)
1952年生まれ。83年、東京・江戸川で古田土公認会計士税理士事務所(現古田土会計)を開業。「古田土式・経営計画書」を武器に、経営指導と会計指導を両展開。約2200社の中小企業を顧客に抱える。著書に『小さな会社の財務 コレだけ!』『会社を潰す社長の財務! 勘違い』(いずれも日経BP)など(写真:鈴木愛子)

ちりも積もれば・・・

 しかし、振込手数料は「ちりも積もれば山となる」の典型で、支払いの金額や取引の頻度が多い場合は、収益にも影響するようなものになってきます。

 ですから、振込手数料は取引先に負担してもらうようにしましょう。

 振り込みを受ける側の負担とするという合意があれば別ですが、もし合意がなければ、手数料は振り込みをする側の負担というのが原則なのです。

 このことは、民法484条、485条における、「持参債務の原則」で定められています。簡単に言うと、代金を支払いに行くための電車賃は自分で負担するのと同じように、振込手数料は振り込みをする側の負担という理屈なのです。