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 本連載においては、リーダーが組織の中でどうあるべきか、何をしなければならないか、あるいは、してはいけないかを考えてみます。従前のリーダー像とは違った考えを提示することになるかもしれませんが、進取の気性に富む人にとっては当たり前のことを書くことになるかもしれません。

岸見一郎(きしみ・いちろう)
哲学者。1956年京都生まれ。京都大学大学院文学研究科博士課程満期退学。専門の西洋古代哲学と並行して、アドラー心理学を研究。『嫌われる勇気』『幸せになる勇気』(ともにダイヤモンド社)など著書多数

リーダーは役割名

 ある中学生が医師にこんな質問をしました。

「医師が看護師や検査技師のような裏方と一緒に仕事をしていくことの重要性は何ですか」

 医師はこう答えました。

「看護師や技師は『裏方』ではないというところが重要だね」

 今はそれぞれの専門医療従事者がチームとして治療やケアを行っているので、ほかの医療従事者は決して裏方ではないのです。チーム医療というような言葉を使わないこれまでの医療現場であっても、医師が1人で治療することはできませんから、スタッフの協力は必要不可欠です。

 会社組織でも、リーダーは役割名であり、上司と部下は職責が違っても対等なのです。

 医療チームとの違いは、会社組織ではリーダーは教育者であることが求められるという点です。

 ところが、この教育は時間と手間暇がかかるので、上司はもどかしい思いがすることがあります。