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田所:サービスを展開する中で、何を大事にしているのですか。

天沼:今は、消費者全体を対象にしたマス向けのサービスから、一人一人の個人に向けたサービスに転換する流れがあります。ですから、いかに一人一人に合わせたサービスを提供するかに注力しています。つまり、それぞれの方の個性や利用シーンに合ったファッションに出合っていただくということです。

 仕事や育児に忙しい女性は、なかなか新しい洋服やコーディネートに出合うことが少ないのではないかと思います。そこで、忙しい女性のライフスタイルを変えていただくことなく、新しい洋服に出合ってもらえるサービスがあれば素晴らしいですよね。そう思ったのが、このビジネスのアイデアが生まれた瞬間でした。

田所:忙しい女性のような課題を抱えるユーザーの意識にどれだけ共感できるかが、アイデアを生み出すには大事だと思うんですが、ファッションビジネスの経験はなかった。数ある業種業態の中から、自分の経験から一番遠そうな女性向けを選んだのは、何か理由があるのですか。

はやりだけのサービスにはしたくない

天沼:先に業界を決めて起業しようと思う方もいれば、何か1つのアイデアがひらめいて業界を選ぶという方もいるでしょう。私は、後者ですね。

 コンサルタントなどで身に付けた得意領域である「仕組み化」を最大限活用して、私たちのチームが最も社会に貢献できることは3つあると考えました。1つはITやインターネットを最大限に活用していること、2つ目は「シェアリングエコノミー」の概念が大好きなので、その要素が入っているということ。そして、3つ目は、お客様のライフスタイルにしっかり浸透するサービスにすること。

 共同創業したメンバー3人とも30歳を超えてからの起業でしたので、一気にはやってもすぐに廃れてしまうようなサービスにしたくなかった。その条件から考えて、このサービスに行き着いたんです。3つの条件に合いそうな百数十個のビジネスモデルを3人で話しながら書き出して、それぞれについて事業継続性はあるかなどを判断していきました。

田所氏と天沼氏は、時代の変化を捉えてユーザーに心地よい体験を与えるサービスを見つけることに商機があるという

田所:そのアイデアすべてについて、ユーザーを想定してインタビューをしたり、情報収集をしたりしたのですか。

天沼:ユーザーのヒアリングをしたのは、エアークローゼットのモデルで行こうと決めてからですね。それまでは事業計画書を4つか5つかに絞って、30~40枚の大まかな事業計画書を書いては捨てという作業を繰り返しました。それで残った中から、一番実現したいという思いの強い今のモデルを選びました。

 3人とも同じIT系コンサルティングファームの出身だったので、とにかく在庫を抱えるビジネスはせず、インターネットを生かそうと思い続けました。経営陣が本気で信じられるものをやることが一番大事だなと思います。そこが少しでも揺らいだら、メンバーに必ず伝わりますし、もっと言うとお客様にも伝わるんじゃないかと思います。ですから、サービスの方針が決まってからヒアリングに行きました。

田所:コンサル出身の起業家の方は、とにかく分析して、リサーチしてと、頭でっかちなプランになりそうですが、共同創業者3人の役割分担はあったのでしょうか。

天沼:いい質問ですね。それぞれの分担ははっきりしていました。私が基本的には意思決定をするリード役。それで、副社長の前川祐介は組織のつくり込みや業務フローの組み立てを担当しました。そして、3人目の小谷翔一は、マーケティングを中心に担当しました。