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江戸時代から150年続く山口県長門市の老舗旅館、白木屋グランドホテルが2014年1月に破産した。7代目社長になるはずだった元専務の平井真輔氏(仮名)は、会長の伯父と社長の父の下、経営再建に奔走した。だが、世代間の考え方の違いで改革の速度が遅れた。後編の今回は、破綻の危機が迫る中でも、世代間で意見対立が続いていた内実を語る。 (前回の記事はこちらを参照)

 伯父や父の反対を押し切って、できるところから白木屋(しろきや)グランドホテルの改革を私は進めました。個人客の選択肢を増やそうと、従来10種類だった宿泊プランを40種類にしました。核としたのは料理。「プロが選ぶ日本のホテル・旅館100選」の料理部門で、 20年以上トップテン入りを果たしたことがある水準だったからです。

2014年まで営業していた白木屋グランドホテル。客室数は118で地元でも屈指の規模だった(写真/森本勝義)

 地元の食材を使った懐石料理、女性向けにカロリー計算された料理、冬はフグやアンコウ、ヒラメの食べ比べなど。利益を確保するためには、料理内容などソフト面で対応するしかありませんでした。すると、努力のかいあって、03年に5000万円の経常利益が出たのです。

根拠のない見通し

 今にして思えば、このとき民事再生法の適用を申請して、スポンサーを募るなり、私が社長になって過去の負債を軽くした上で自主再建するなりといった道があったと思います。

 ただ、このときは私も含めて伯父や父も安心し、根拠がないまま、翌年以降も黒字が続くと考え、ほぼ全額を借入金の返済に充てました。せめて金融機関と交渉し、5000万円を部屋や風呂の設備投資に回していれば、その後の集客力が増したかもしれません。