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江戸時代から150年続く山口県長門市の老舗旅館、白木屋グランドホテルが2014年1月に破産した。7代目社長になるはずだった元専務の平井真輔氏(仮名)は、会長の伯父と社長の父の下、経営再建に奔走した。だが、世代間の考え方の違いで改革の速度が遅れた。旅行スタイルが団体客から個人客中心に変わる流れに対応できず、行き詰まった。経営破綻に至るまでの内実を平井氏が明かす。

 先代が会社に残っている場合、後継者が改革を進めようとしても、先代が従来の方法にこだわり、抵抗勢力になりがちです。老舗ほど踏襲したくなるものは多いでしょう。その溝を埋めるのには時間がかかり経営改革が遅れます。私はこれを経験しました。

 白木屋(しろきや)グランドホテル(以下、白木屋)では、2000年に専務として私が戻ったとき、伯父で5代目社長を務めた会長の太郎(仮名)と、父で6代目社長の豪太(仮名)の2人がいました。彼らとの価値観のギャップにすごく苦しみました。

17ある宴会場が満室に

 白木屋は、山口県長門市で600年近い歴史を誇る湯本温泉街にあり、1865年に創業した旅館でした。1977年には客室数118、宴会場 17の規模まで拡大しました。秋の行楽シーズンには、宴会場が満室になるほど団体客で賑わったそうです。

山口県長門市の湯本温泉にあった白木屋グランドホテル。今は取り壊され、別のホテルが建設中だ

 業績のピークは、ちょうど父が6代目社長に就いた90年。企業を中心に団体客が次々に入り、21億円の売上高を記録しました。