では、どんなところから見直せばいいのでしょうか。

野田:生産性を上げるにはコツを学んで仕組み化することが大事。それを実現すると早く成果が出やすい。どんな仕事にも当てはまりますが、開始から終了までのプロセスをしっかり設計する。その設計に沿って共通のビジネススキルを標準化しておくと、組織の長は進捗状況も把握もしやすい。A君はエクセルで数字を管理しているが、B君はメールだけで仕事を進めている……といった状況では、組織をマネジメントしにくくなるのです。

 生産性の向上につなげる基礎的なビジネススキルは、たくさん必要なわけではありません。例えば、いくつかの仕事を整理する「TODO」リストを作る。次に優先順位を決めて、手間がかかる仕事は「PDCA」を使い、改善しながら進める。管理職やリーダーならば、部下の「TODO」「PDCA」を把握したうえで、定期的にホウレンソウ(報告・連絡・相談)を指示しておく。実はこうした基本的な仕事の「段取り」を整えないまま、やみくもに仕事に取り組んでいる人は多い。こうして仕事の管理が甘くなり、冒頭でお話ししたようにぎりぎりまで動かない人が出てきたり、抜け漏れによって仕事の手戻りが発生したりする。

組織をマネジメントする上でも、ビジネススキルの標準化は有効。効果はすぐに表れるという。(写真:PIXTA)
組織をマネジメントする上でも、ビジネススキルの標準化は有効。効果はすぐに表れるという。(写真:PIXTA)

基礎的なビジネススキルを標準化する

同じビジネススキルを部署内で標準化しておけば、仕事を速やかに進められるだけではなく、問題も発見しやすいかもしれません。

野田:その通りです。かつて私がコンサルティングを任された自動車ディーラーのケースです。セールス部門は絵に描いたような“気合職場”でした。ですが、毎月優秀な成績を残す社員と残せない社員では何が違うか。それは仕事の中身を検証し、仕分けして整理する「段取り」を終えてから日々の業務に取り組んでいるかどうかなのです。

 私は成績が振るわない社員に対して、「あなたの仕事の進め方や課題について、トップセールスマンのAさんに助言してもらおう」という課題を出しました。しかし、自分の仕事が全く整理されていないために、Aさんに何をどう質問すればいいのかが分からない。これは上司、部下の関係でも一緒で、だからこそビジネススキルを標準化することが効果的なのです。「TODO」「PDCA」といった基礎的なものでも、意外と活用できていないのが実情です。

ビジネススキルを標準化するにあたり、管理職やリーダーが率先すべきことは何でしょうか。

野田:まず本人も含め、仕事の棚卸しを全員にさせることです。「やるべき仕事」「やらなくていい仕事」をしっかりと把握すること。ここではマトリックスを活用した簡単なビジネススキルが使えます。タテ軸に「重要」「重要ではない」、ヨコ軸に「緊急」「緊急ではない」とするマトリックスを作り、仕事を分類していきます。当然ながら、「重要」かつ「緊急」の項目に該当する仕事を最優先に進めますが、生産性の高い組織は「重要」かつ「緊急ではない」に当てはまる仕事を重視し、とにかく緊急の仕事を減らすようにしています。例えば、突発的な会議を頻繁に開いたり、資料作りのためにネットで無節操に調べ物を続けていたりするのをやめるのもその一例です。