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 「叱っても反応が薄い」「怒るとすぐに落ち込んでしまう」。今まで通りの叱り方では社員に通じなくなったと悩む社長が増えている。しかも、叱り方が度を超すとパワハラにもなりかねない。他の社長はどんな叱り方をしているのか、気になるだろう。中小企業の会長・社長に聞いたアンケートからは、社員との接し方に戸惑っている社長の姿が透けて見える。

 「社員への叱り方」が変わってきたことを、社長はどれだけ感じているのか。今年4月、中小企業の会長・社長200人に聞いた。

 まず「社員を叱ったときの反応が以前と比べて変わった」と感じている社長は40%を超えた(Q1)。ただ、叱ったときの社員の印象は二つに分かれる。「反応が薄く手応えがない」が27・5%、逆に「すぐに落ち込んでしまい、打たれ弱くなった」が16・5%。タイプは正反対でも、どちらも叱り方が難しいことに変わりはない。

【調査の概要】本誌編集部が、ネオマーケティング社の協力を得て、全国の中小企業(従業員5人以上300人以下)の会長、社長200人、20歳以上30歳までの一般社員100人に対してインターネットを通じてアンケートを実施した(2019年4月5日~4月8日)。

感情をコントロール

 では、社長はどんな叱り方を心がけているか(Q2)。感情的にならないように自分をコントロールしている人が多い。「問題点を筋道立てて具体的に説明している」という回答は半数近くあった。

 叱りにくいのはどんな社員かを聞いた結果はQ3の通り。社長が最も叱りにくいと感じるのは「自分より年上の社員」(31・5%)。以下、「女性社員」が23・5%、「若手社員」が19%と続いた。

 理由を聞いてみると、年上社員に対しては「古参、番頭格は先代からの社員なので気苦労が多い」などと感じている(Q4)。想定内ではあるが、これから定年後の再雇用も進むため、年上社員に対して叱る場面も多くなるだろう。

 一方、女性社員を叱りにくいと答えた理由は「叱り方を誤ると、パワハラ・セクハラ扱いされてしまう」「異性なので、感情的になりやすい」といった回答が目立った。

 若手社員については「反応が希薄で感情がつかみにくい」「ジェネレーションギャップ」があるなど、相手の考え方を理解するのに戸惑う様子がうかがえる。「転職サイトも採用には便利だが、社員が辞めた後は敵になる」という回答もあった。若手社員に転職サイトやSNS(交流サイト)が浸透し、辞めた勤務先を非難する書き込みをされる可能性があるので叱りにくくなっているわけだ。