フルスイングで勝負

ビジョンを初めて具現化したのが、09年9月に発売した軽量眼鏡「エアフレーム」です。勝負はフルスイングでやると決意を固めて、レンズを薄型や非球面に交換するときにかかる追加料金はやめました。これは業界の長い慣習だったこともあり、競合は「ジンズは終わった」と喜んだようです。
品切れでお客様を失望させるわけにはいきません。「月に2000本売れればヒット商品」と言われる中、在庫はその3年分に相当する7万本を用意。そして広告宣伝費は1カ月間で5億円使うという決断を下します。予算は年間1億円しかなく、役員たちは猛反対しましたが、私は「ここで引き下がったら後がない」と、最後は気迫で押し切りました。
ただ、勝算のない博打(ばくち)をしたのではありません。「会社を潰さないためには、エアフレームの販売数をどのくらい増やす必要があるか」というシミュレーションを、担当者と連日しつこいほど綿密に繰り返しました。
背水の陣で迎えた発売日。その後の数週間で7万本が売れました。すべてを賭けられると心から思えるビジョンを定め、迷いなくフルスイングしたから得られた結果だと思っています。
(この記事は、「日経トップリーダー」2019年5月号の記事を基に構成しました)
一族が経営に関わるファミリー企業の経営者・跡継ぎとなる若い世代に向け、日経トップリーダーではファミリービジネスの全体像を理解し、家族経営ならではの課題を乗り越えてもらうための新たなセミナーを始めます。
7月から開始する本講座での大きなテーマは2つ。
- ●「お家騒動」など、ファミリー企業ならではの課題を解決する方法を学び、発展に結びつける
- ●一族の中、会社の中の双方で求心力、実行力を持つファミリー企業トップのリーダーシップを学ぶ
こうした課題を7月末から10月末まで毎月1回、全4回にわたり、講義やグループワークなどを通じて学びます。
講師は、30年前からファミリービジネス向け講座を開催し、企業の幹部育成講座が世界的に評価・支持されるスイスのビジネススクールIMDの北東アジア代表、高津尚志氏。さらに、ファミリー・ビジネス・ネットワーク・ジャパン(FBNJ)の幹部として20年にわたり国内外のファミリー企業の課題解決に携わり、学術的知見を有する河田淳氏の二人。
FBNJは、世界65カ国のファミリー企業3500社、1万6000人が加盟するNPO(非営利法人)、ファミリー・ビジネス・ネットワーク(FBN)の日本の拠点です。
詳しい内容は以下のリンク先をご覧ください。
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