儲かる商品はどれ?

借り入れの大半を固定資産に使う、という部分をもう少し財務的に説明してもらえますか。

金子:下の図を見てください。長期・短期の借り入れを丸々、固定資産につぎ込んでいる状態が、それです。短期借入金を運転資金に、長期借入金を固定資産に使うのがあるべき姿ですが、その点でバランスを欠いている。

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 加えて、回収期間。長期借入金の返済は5年や7年といったところでしょうが、投資した設備で生み出す利益を計算すると、明らかに5年や7年では借り入れを返済できないケースがある。その点もアンバランスです。

 そもそもB/S(貸借対照表)を気にしていない社長が多過ぎます。B/Sは単なる資産リスト、負債リストではない。例えば売掛金が前期より大幅に増えたら、アラート(警告)が鳴っているんです。「なんでだろう」と考えなくちゃいけない。常に5期分くらいのB/Sを比較し、意図せず変動している数字がないかをチェックしてほしい。

 

P/L(損益計算書)について再生案件の会社に共通点はありますか。

金子:私の仕事の入り口は損益分析から入ります。過去の帳簿を基に「何が儲かっていて、何が儲かっていないのか」を整理するのです。「こんな帳簿を出してほしい」と会社とやり取りしますので、2カ月くらいはかかります。

 その上で、例えば限界利益がマイナスになっている製品をラインアップから外し、儲かっている製品に力を入れる。業績改善には、これが一番効果があります。企業経営において、何が儲かっているかを知るのは当たり前ですが、それができていない。

製品ごとの売り上げは把握していても、製品ごとの利益を細かく見ていない社長は、案外多いのかもしれません。

金子:月次で利益を出している会社でも、数字の信ぴょう性はあやしい。下の図を見てください。売り上げから原価を引くと粗利が出ますが、問題は棚卸し。再生案件に持ち込まれる中小企業は、棚卸しが適当なことが多い。

 1年を通して、毎月の棚卸し額が同じというひどいケースもありました。再生の現場で月次決算書を並べると、利益率の振れ幅がやたら大きい会社がよくあります。何かしらの理由があって利益が変動しているならいいのですが、納得できる説明が返ってこないと「原価計算がいいかげんなんだろうな」と察しがつきます。

 不正防止などのために在庫量は数えていても、評価額が適当なのです。直近の仕入れ額を使うのが正確ですが、中には、大昔に社内で決めた基準単価をずっと使っている会社もあります。

 現実よりかなり高い基準単価を使っている会社は、材料を仕入れるほどP/Lが良くなることを理解しているので、在庫を溜めたがる傾向にあります。そんな会社で月次決算の数字に意味があるのかというと、ないです。

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「理想論はそうですが、急がしくてそこまでやり切れない」という声も聞こえてきそうです。

金子:「うちは製品在庫が少ないので、そこはざっと見るにとどめて、主力材料の計算を正確に計算しよう」というのでも構いません。業種や会社によって金額が多いもの、変動するものは違います。どこに力を入れ、どこは力を抜くか。それを見極めて、簡便な方法を考えればいいのです。

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