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数値目標が未達成でも叱らない

 社員一人ひとりが毎月の売り上げ目標を「千円単位」で細かく定めることをお勧めしました。そうすれば、社員が数字に関心を持ち、計画と実績の差について自ら考えを巡らせ、行動が前向きになることをご理解いただけましたでしょうか。

 ただ、同じように数値目標を立てても、効果が上がらないどころか、むしろ社員が後ろ向きになるというケースが時々あります。その差はどこで生じるのでしょうか。答えは、目的の違いです。

 経営陣が売り上げや利益などの数字を引き上げることを最終目的にしてしまうと、数字は社員にとって苦痛極まりない存在になります。「うちの社長は数字にしか関心がないのか!」と怒り、辞める社員が相次ぐでしょう。

 この場合、数字はプレッツシャーをかける役目しかなく、社員の前向きな行動には全く結びつきません。経営者の自己満足や管理職の出世のために、社員に数字を設定させるという思惑が少しでも垣間見えると、社員は途端にやる気を失うのです。

 数値目標を立てるのは、社員自身に成長してもらうためです。数字は自分がどれくらい頑張ったかという成長度合いを確かめるための“資料”といえます。社員の頑張りの結果として会社が発展するのであり、会社を成長させるために社員をこき使うようなことがあってはなりません。

 だから、目標に達しなかった社員を怒ってはいけないのです。

数値目標は社員の成長を促すためのもの。月間の数値目標が未達成でも、社員を叱ってはいけない(イラスト=高田真弓)

 やるべきことは、どうすれば目標を達成できるのかを冷静に考えることです。古田土会計では、社長の私や上司が社員と話し合い、目標と実績の差を解消する方法を一緒に探ります。

 そうすることで、社員は自分がどのように頑張ればいいのかが明確になります。もちろん、社員の目標を下げることもあります。例えばクライアントからのクレームが多い社員には、担当企業を減らすなどの調整をします。

 そもそも中小企業では、数字が達成するもしないも、すべて社長の責任です。戦略が正しく、商品・サービスが良ければ数字はおしなべて上がります。「みんな、このままでは予算割れだぞ!」と社員を叱り飛ばすのは、天に向かって唾するも同然なのです。

 数字が持つ力はとても強い。社員の心を前向きにも、後ろ向きにもする。そのことをよく心に銘じましょう。

(この記事は、「日経トップリーダー」2016年10月号、11月号、12月号の記事を基に構成しました)

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