全3410文字

千円単位の担当者別計画を立てる

 古田土会計では、(それぞれの経営計画書で)担当者(担当顧客を持つ社員)ごとに年間販売計画を立てます。年間計画は「1800万円」というようにざっくりした数値ですが、月々の計画は千円単位で設定してもらいます。ただし、単純に12等分はしません。

 ある担当者の年間計画が1800万円だったとすると「毎月150万円(=1800万円÷12カ月)」という計画は駄目です。平均値を目標にしたのでは、本人の思いが全くこもらないからです。前年実績を参照しながら、合計で1800万円になるように、月々の目標を千円単位で積み上げるのです。

 例えばこんな感じです。「3月の年度末は頑張るぞ。昨年より8000円プラスの計画を立てよう」「5月に新製品が出るから、6月は新規顧客の開拓に力を入れて215万5000円を売ろう」。

古田土会計では、担当者ごとに年間、月間の販売計画を立てている。月間計画は年間計画を12等分せず、月々の状況に応じた目標を千円単位で立ててもらう(イラスト=高田真弓)

 千円単位でその月ごとの目標を立てると、社員は年間を通してどんな働き方をしようかと、頭の中に具体的なイメージを描きます。「なぜ、この月はこの額なのか」と考えるので、数字が意味を持ち、担当者の思いが詰まった数字になるのです。

 自分で一生懸命に考えた計画ですから、達成したら喜びは格別ですし、翌月はもっと頑張ろうという気になります。逆に、計画に達しなかったら「どうすれば年度末までに1万4000円のマイナスを取り戻せるだろうか」と創意工夫します。年間計画の12等分では、こうした自発的な行動にはつながりません。

 また、仕事の仕方をイメージしながら千円単位で計画を積み上げると、年間計画が妥当かどうかという見極めもできます。計画は、会社の都合を押し付けるノルマではありません。年間計画のハードルが高すぎると本人が判断すれば、上司と相談の上、計画を下げればいいのです。

 業種によっては商品・サービスの単価が高く、千円単位より万円単位で計画を立てたほうがいい企業もあるでしょう。逆に百円単位、一円単位にするともっと効果が上がるのではと考える人がいるかもしれませんが、あまりに細かい数字では現実味が薄い。多くの企業を指導してきた経験からすると、やはり千円単位の計画がお勧めです。

 このように見てくると、数字というのは単なる記号ではなく、人間の考え方や行動様式を変える素晴らしい力を持っているのだと、私はつくづく思うのです。