全3410文字

中小企業の会計指導と経営指導を手がけ、36期増収を続ける会計事務所、古田土会計の古田土満代表は、数値目標を定めるのは社員の成長を促すためと強調します。大事なのは数値目標をどうやって達成しようかと前向きに考えてもらえるか。数値目標の未達成を叱っても社員はついてきません。社員全員が頑張ろうと思う数値目標の立て方、教えます。

 今回は、私が代表社員を務める古田土会計が実践し、また私たちが支援する中小企業が着実に業績を伸ばしている方法をお話しします。

 古田土会計では毎月第1月曜の朝、パートさんを含む全従業員220人が本社ビル1階にある広めの会議室に集まります。そこで開くのは売り上げの発表会。「先月の私の売り上げは○○万円でした」と従業員が一人ずつ発表し、その数字を他の人が手書きで、自分の経営計画書に書き写していくのです。

古田土会計では、毎月全従業員を集めての売り上げ発表会を開催している(イラスト=高田真弓)

全員が発表し、全員で記入する

 220人全員が同じ経営計画書を持っているのも特徴ですが、注目してほしいのは全員が一堂に会し、全員が発表し、全員で書き込むという行為です。メールで毎月の実績値を一斉配信すれば楽でしょうが、それでは全員で経営計画を実現しようという一体感が生まれません。

古田土 満(こだと・みつる)
1952年生まれ。83年、東京・江戸川で古田土公認会計士税理士事務所(現古田土会計)を開業。「古田土式・経営計画書」を武器に、経営指導と会計指導を両展開。約2200社の中小企業を顧客に抱える。近著に『小さな会社の財務 コレだけ!』(写真:鈴木愛子)※古田土氏の「土」は正式には右側に「、」が入る

 中には、個人別の月間目標に届かない人もいますが、私は何も言いません。皆の前で叱責したらかわいそうですし、むしろやる気を失わせてしまう。全員で発表し合えば「自分も負けてはいられない」と自然に思うものです。

 私たちの場合、新しい顧問先を開拓するだけでなく、既存客に相続のアドバイスをしたりすることでも売り上げを増やせます。数字ありきではお客様が離れるので、ノルマは課しません。個人の自発的な頑張りに任せています。

 パートさんは顧問先から直接売り上げを得ることはありませんが、「月次決算書を作ったら顧問料の1割を受け取る」など、社員のサポートをすれば売り上げの一部が分配されるルールがあります。この仕組みにより、パートさんも売り上げを発表できます。

 個人別に売り上げを立てるのは難しいという業種・職種の場合は、チーム別に実績を発表してもいいでしょう。とにかく全員が集まることが肝心です。こうした月次報告会は、部課長以上、あるいは営業部門だけで実施することが多いのですが、全員で集まるからこそ、従業員のモチベーションが高まるのです。

 業績発表会を毎月繰り返している古田土会計では、従業員全員が目標達成のために努力しています。全員が一丸となれば、高収益体質に向けて大きく前進するのです。