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当時29歳の十河宏輔氏が、シンガポールでAnyMind Group(エニーマインド・グループ)の前身となるAdAsia Holdingsを創業したのは2016年4月。それからわずか3年で、日本を含むアジア11市場で事業展開し、さまざまな国籍の社員400人を抱えるグループに急成長した。16年度の売上高は1290万ドル、17年度は2600万ドル(いずれも同社公表値)。事業は、AI(人工知能)を活用したBtoBのソリューション。現在の柱は、デジタル広告の最適化サービス、企業とインフルエンサーのマッチング、採用管理のプラットフォーム事業の3つだ。『起業の科学 スタートアップサイエンス』『入門 起業の科学』の著者である田所雅之氏が、十河CEOに急成長の理由を聞いた。

田所:私もたくさんの起業家を見ていますが、十河さんはすごい。3期目というと、多くのスタートアップはプロダクト・マーケット・フィット(市場に熱く受け入れられる製品を仕上げること)の達成を目指してヒーヒー言っているとき。

 なのに、十河さんは早くも3つの事業で成果を出している。しかも約10カ国で。東南アジアと一口に言っても、国によって人種も宗教も言葉も違うからマルチナショナル(多国籍)の展開は簡単じゃない。社員数は今どれくらいですか。

十河:約400人です。設立2年目に日本に拠点を開設し、現在、日本国籍の社員は80人ぐらい。グローバルでは毎月15人ほどが新しく入ってきます。

入門 起業の科学』の著者でスタートアップ支援を手がける田所雅之氏(左)とAnyMind Groupの十河宏輔CEO(右)(写真:菊池一郎、以下同)

田所:3年前の時点では、どんなイメージを持って起業したんですか。

十河:ただ漠然と、超大きいことしたいと思っていました(笑)。

田所:超大きいこと!

十河:前職はサイバーエージェントグループのマイクロアド(東京・渋谷)で、東南アジアの統括をしていました。自由に何でもやれましたが、本気で大きな会社をつくりにいこうと。アジアの電通みたいな会社をテックドリブン(テクノロジー主導)で、というイメージです。

十河宏輔(そごう・こうすけ)氏
1987年生まれ。2010年日本大学商学部卒業後、マイクロアドに入社。12年ベトナム法人CEOに就任。その後6カ国の同社海外法人のCEOおよびマイクロアド本社の取締役を務める。16年に起業し、シンガポールにAdAsia Holdingsを創業。18年、AdAsia Holdingsなどの親会社となるAnyMind Groupを設立。

「超大きいことをしたい」という考え方はどこから来たものなんでしょうか。

十河:父親、母親の両家系とも経営者だったので、子供の頃から社長になりたいという思いはあったんですが、高校生のときに大阪近鉄バファローズの買収をしかけている堀江貴文さん(ライブドア元社長)を見て、衝撃を受けました。

 すげえな、と。じいちゃんの会社と全然違うぞって。

 いや、じいちゃんの会社も建設業で、いい会社です。でも、インターネットは次元が違うというか、こんなビジネスもあるんだと衝撃的でした。それで僕も大学卒業後、ネットビジネスの世界に入りました。働いてみて分かったのは、日本ではインターネット第一世代の人が今なお、大きな会社を経営していること。

 しかも、結構クレイジーな人が多い。その下の世代も優秀な人がいっぱいいると思うんですけど、日本では、第一世代の会社が今も圧倒的なんですよね。でも、海外を見ると違う。中国でも第一世代以外の人たちがワーッと出てきていて、会社を大きく成長させている。

 僕もそんな会社をつくりたい。市場全体が拡大しているアジアのストーリーをもってすれば、可能性はすごくあるんです。