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今どきの若手スタートアップ経営者は朝礼をどう考えているのか。もはや「ブラック企業」の象徴としてしか捉えていないのか。先輩経営者であるヤッホーブルーイングの井手直行社長と、アソビューの山野智久社長、サイトビジットの鬼頭政人社長の3人が大いに語り合った。朝礼で社員同士の雑談を取り入れるヤッホーの井手社長が「(一時的に社内が)カオスになることがあっても、その時期を我慢すれば、いずれ相互理解が深まって意思決定が速くなる」という経験を前編で披露した。その真意とはーー。
ヤッホーブルーイングの井手直行社長(写真中央)、アソビューの山野智久社長(写真右)、サイトビジットの鬼頭政人社長(写真左)の3人による座談会は、朝礼の在り方から組織マネジメントの方法にまで話が及んだ(写真:菊池一郎、以下同)

多くの経営者は、カオスの時期に我慢できず、「このやり方がダメ」と諦めてしまう。

井手:米国の心理学者、B・W・タックマンが提唱したチームの発達段階のモデルがあるんです(下図参照)。4段階あって、初期のチームの「形成期」や第2段階の「混乱期」を突破すると、全体のパフォーマンスが急速に上がってくるというものです。

 国内企業の約8割は形成期にいると思います。だけど、僕らは混乱期を耐えて、第3段階の「統一期」や第4段階の「機能期」まで進もうとしています。

出典:『DEVELOPMENTAL SEQUENCE IN SMALL GROUPS』(BRUCE.W.TUCKMAN,1965)などを基に編集部で作成

鬼頭:うーん……。

経営には「エモさ」が必要

山野:僕、今の鬼頭さんの気持ちがすごくよく分かります。社員の心の変化で業績が上がるのかと。もともと僕も鬼頭さんと同じ、論理的で合理的なタイプなんで。

 ただ、経営はそれだけでは行き詰まる。そこで大切になってくるのが、エモーショナル(感情的)な部分、「エモさ」なんですよ。

 論理だけで攻めてもメンバーは気持ちとして納得できない場合が残る。それが分かって僕もアプローチを変えました。

 3年前までは完全に論理性、合理性だけのマネジメントでした。経営戦略と事業戦略が紐付いていて、事業戦略の課題解決に沿ったチームがあり、チームごとに目標があるといった、バッキバキな階層構造に基づくやり方でした。

 個々のメンバーに対しては目標達成を強く求めた。「おまえ、給料に見合うアウトプットをするのはプロとして当然だろ」みたいな。その結果、何が起きたか。社員が辞めて入れ替わるばかり。

 そんなときだと、井手さんの話が腹落ちする。論理も大事だけど、心や愛とかも大事だと。考えてみれば、顧客に提供するサービスも合理的なベネフィットだけじゃなく、楽しさやしゃれも大事だと。それをだんだん意識するようになっていきました。