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情報の「滝」をつくる

 そんな観点から私は昨年、ある会議をテコ入れしました。

 それは半期に一度の方針発表会です。出席者は部長以上の約100人の幹部社員たち。8人の役員が順に壇上に上がり、担当部門の方針をプレゼンします。

 以前は、この方針演説の内容を各部門長が独自に考えていて、目指すものがバラバラでした。例えば、製造部門は「安全第一で……」と始まるわけですが、他部署の社員には全く興味が持てません。そのため、集中力が切れてしまう社員も散見されました。

 そこで昨年から、社長が示す全社目標に沿って部門ごとの方針を表明するようにお願いしました。

 エステーのスローガンは「空気を変えよう」。そのため「空気」を軸に、日用品メーカーの枠を超えて、空気ビジネス総合企業へと脱皮する。そして、売上高も今の2倍、1000億円超まで大きくする。そこまでできれば、日本の社会の空気を少しは変えたことになる。そう社員に伝えました。

 こんな共通の目標を達成するため、各自がどんな役割を果たすか。議題を明確にしたことで、各部門長のプレゼンは簡潔になりました。1日かかっていた発表会は半日で終わり、集中力もアップ。

 その代わり、方針発表会の後、部門長から現場社員に部門の方針を伝える時間をつくってもらいました。トップから現場までがカスケード(滝)のように情報を共有し、目的と役割を把握する。ベクトルの一致があってこそ、トレンド・ラボのような試みも効果を上げるのだと思います。

(構成:福島哉香、この記事は、「日経トップリーダー」2018年5月号に掲載した記事を再編集したものです)

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