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楽しく生産性を上げる

 現在、隔月で開催しているトレンド・ラボの成果は、性別や世代の違う社員たちが活発にコミュニケーションを取り、楽しみながら生産性を上げられたことです。

 なぜ、「生産性が上がった」と断言できるのか。以前にあったムダを振り返れば明らかです。

 例えば、16年に大ヒットした消臭芳香剤「シャルダンステキプラス」。開発中に、小さな鍵の形をしたチャーム(飾り)を容器に付けるかどうかで大論争が起きました。

 「機能のない、ただの飾りにコストをかけるべきではない」という男性社員と、「『カワイイ』という直感が購入のきっかけになる」と主張する女性社員とがぶつかったのです。結論を出すまでに多くの時間を要しました。

厳選した香りを組み合わせて大ヒットした消臭芳香剤「シャルダンステキプラス」。商品の左側にぶら下がる鍵の形のチャームを付けるかどうかで、大論争した

 また、購買層の女性たちが「ボタニカル(植物の)」という言葉を認知しているかどうかが議論になったときのこと。最終的には少なくない費用をかけてアンケート調査を実施し、決着させました。

 こういった時間やコストは、性別や世代を超えた雑談が社内で活発に行われていれば不要です。ターゲット層に近い社員に「ねぇ、どう思う?」とひと言聞けばいいだけ。その下地をつくるのがトレンド・ラボの役割です。

 生産性向上のためには、労働投入量を減らすと同時に、労働が生む付加価値を高めなければなりません。トレンド・ラボは時間と経費を削減するだけでなく、消費者心理を理解した付加価値の高い商品を生む試み。私なりに働き方改革の本質に迫ったつもりです。

 私は日ごろから、「価値を生む仕事に集中しましょう。価値を生まない仕事は切り捨てましょう」と社員に伝えてきました。仕事の目的、効率、効果を吟味して優先順位をつけ、新たな挑戦をする時間を大胆につくり出さなければ、企業の成長は見込めません。

 そのため社員たちにまず、価値を生む仕事は何かを伝える必要がありました。価値を生む仕事は、トップが掲げる目標と一致している必要があります。目指す方向がバラバラになると力が分散し、ムダが生まれるからです。