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現地ニーズを満たす

 国内ではそこそこ知られているエステーの社名も、海外では無名です。だからまず、1つでいいからヒット商品を出すことが大事。そこを足がかりにターゲット層に食い込み、リピート購入を通じてブランドを認知していただく。核となる商品を確立できたら、新たなラインアップを加え、さらに愛着を深めてもらう。この繰り返しがファン層を厚くします。

 では最初のヒット商品を生むために何をすればいいか。ただやみくもに数を打てば当たるというものでもありません。

 そこで私たちは商品カテゴリーを絞り込むことにしました。15年、タイの現地法人の社長と共に、主婦を中心とした女性をターゲットにマーケティング調査を開始。タイの女性は市場にある製品のどんな機能に満足して何に不満があるのか。私たちはそこにどんな付加価値を与えられるか。グループインタビューを繰り返しました。

 タイで最初に注力すべき商品カテゴリーを消臭芳香剤に決めた理由は2つあります。

 1つは、タイにはスパの文化があること。スパではアロマオイルを使用します。香りに対する意識が他のアセアン諸国に比べて高いのです。タイ独自のアロマブランドも複数存在し、価格は高くとも顧客に支持されています。

 もう1つは、消臭芳香剤市場の競合状況です。アジアの日用品市場によく見られる欧米のメガブランドによる寡占状態になっていません。国内外のメーカーが林立しているため、後発でも商機はありそうでした。

タイにはアロマオイルを使ったスパの文化があることから、消臭芳香剤をターゲットにした

 商品カテゴリーが決まったら、次は投入すべき商品です。このときはテストマーケティングにぴったりの商品がありました。女性らしい華やかなデザインが当たって、日本でヒットした消臭芳香剤「SHALDAN Suteki Plus(シャルダン ステキ プラス)」です。タイの女性は、装飾性の高いデザインを好みます。この製品を現地の女性に配り、アンケート調査をしました。感触は上々。方向性が間違っていないことを確認し、さらに香りや価格帯などのヒアリングの後に、テスト販売をしました。