
2017年度、開館以来最高となる来場者数198万人を達成した「サンリオピューロランド」(東京都多摩市、以下ピューロランド)。長年の低迷から一転、V字回復を果たした。
ピューロランドは1990年に開園した日本初の屋内型テーマパーク。「ハローキティ」をはじめ、サンリオの人気キャラクターが登場するアトラクションやショー、パレードなどが売りものだ。
しかし、2000年代以降、来場者数は減少基調から抜け出せず、じり貧に陥っていた。

そこからの復活をけん引したのが、小巻亜矢館長だ。小巻館長は大学卒業後、サンリオに入社。結婚を機に退職したものの、復職。サンリオグループの化粧品事業や企業内ベンチャーの立ち上げに携わった後、14年6月、ピューロランドを運営するサンリオエンターテイメント顧問に就任。そこでのV字回復への貢献が評価され、16年6月、ピューロランド初の女性館長として抜てきされた。
小巻館長が加わってから、目に見えて変わったのはショーやパレードの内容だ。長期低迷の原因は少子化の時代に、子供だけをターゲットにしていたからと分析。「大人も楽しめるテーマパーク」に変えるべく、次々に手を打った。
大人も楽しめる内容に
例えば、子供向けだったミュージカルに、イケメン俳優を起用。大人の女性を新たなファンに取り込んだ。パレードも一新。テーマ曲の作詞作曲に、AKB48をはじめ人気アイドルグループへの楽曲提供で知られるヒャダイン氏を起用。振付や衣装も、「20~30代に人気の一流アーティストとのコラボレーション」にこだわった。
ただ、こうした外形的な変化ばかりに目を奪われると、本質を見誤る。小巻館長が就任直後、真っ先に実施した改革は、「1日12回の朝礼」だ。
1日に12回も実施するのは、ピューロランドで働くスタッフ全員に毎日、朝礼に参加してもらうためだ。メンバーは日によって変わるが、1日に多いときで約200人。担当するエリアごとにシフトはバラバラ、スタッフの出社時間もまちまちなので、どうしてもこれだけの回数が必要なのだ。
時間と手間をかけ、毎日12回も開くのは非効率にも思える。しかし、小巻館長は「再生につながる新たな企画が次々と生まれたのも、朝礼で現場の声をしっかり拾ったから。接客の質も高まった。朝礼が改革の何よりの原動力になった」と断言する。
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