上田準二さんの「お悩み相談」。今回の相談は夫のSNS(交流サイト)での言動に悩む37歳の女性から。実名でSNSに投稿する一方で、言葉遣いなどが稚拙で度々炎上するのが悩みだと打ち明けます。上田さんは「間違っていることを直接指摘すると、家庭内でも炎上しかねない。まずは寄り添ってあげよう」とアドバイスします。
※読者の皆様から、上田さんに聞いてほしいお悩みを募集しています。仕事、家庭、恋愛、趣味など、相談の内容は問いません。ご自由にお寄せください。
悩み:士業の夫がSNSで度々炎上しています。潜在顧客を敵に回さないために、どうすればいいでしょうか?
SNS向きではない夫に、冷静にSNSを使ってもらう方法がないか悩んでいます。夫はいわゆる「士業」で、営業活動や顧客への知識提供を目的に実名でSNSを使って発信するのは珍しくありません。しかし夫の性格上、文体が稚拙で好戦的になってしまい、同業者や顧客になり得る一般の方と口論になるケースがあります。本人は真剣なのですが、相手に「マウント」を取ったりあおったりと、子供のけんかのようなやりとりをしています。
同業者の多くはSNS上でも誠実に振る舞い、多少見方が分かれる意見を表明しても炎上することはまれです。変な絡み方をされても、「そういった意見もあるのですね」ときちんと大人の対応をして流しています。
一方で夫は「あの先生は性格に難がある」「こんなにヤバイ人だとは思わなかった」「沸点が低くて怖いので選択肢から外す」などとSNS上で言われています。そして炎上した日は、夜遅くであっても妻である私に「あなた(夫)は悪くないわよ」と言ってほしそうな空気を出します。翌朝に不機嫌を持ち越すときもあり、職場の部下たちは仕事をしづらいのではと心配になります。アドバイスをいただければ幸いです。よろしくお願いいたします。
(37歳、女性、会社員)
上田準二:相談者さんの夫が何の「士業」かは分からないけれど、弁護士であれ税理士であれ、自分の腕で仕事をするには名前を売ることが先決だよね。毎月決まった給料が振り込まれる会社員とは違い、営業して顧客を獲得する必要がある。世界中の人に実名を知ってもらえるSNSを使いこなせれば、仕事上でかなり有利になるのは間違いない。
ところがSNSは「両刃の剣」。相談者さんが懸念するように、文体や振る舞いを間違えると容易に炎上し、あっという間に悪評が広まってしまう。
小笠原啓(日経ビジネス編集):投稿には「職場の部下たち」と書かれています。おそらく個人事務所を開業した、それなりのベテランなのでしょうね。
上田:相談者さんはネガティブな情報だけを投稿に書かれているけれど、士業として一定の評価を得るのは簡単じゃない。押しが強くないとライバルとの競争に勝てないだろうし、切れ味鋭く要点を突いて、相手を納得させる論理展開も必要になる。実社会で役立つこれらの資質が、ちょっとしたボタンの掛け違いで、ネット空間では「攻撃的だ」と受け取られるのかもしれないね。
とはいえ、相談者さんが心配になるのも無理はない。どこかで軌道修正しないと、実名でSNSを使うメリットよりもデメリットの方が大きくなってしまうからね。既にそうなっているかもしれない。さて、どうするか。
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