上田準二さんの「お悩み相談」。今回の相談は中小企業に勤める35歳の女性から。親会社から天下ってきた社長が「アナグマ」のように社長室にこもり、理不尽な指示を出すのが悩みだとこぼします。上田さんは「出社直後、アナグマに入り込む前がチャンスだ」と助言します。その心は?
※読者の皆様から、上田さんに聞いてほしいお悩みを募集しています。仕事、家庭、恋愛、趣味など、相談の内容は問いません。ご自由にお寄せください。
悩み:天下ってきた社長が「アナグマ」のように社長室に閉じこもり、一方的に指示を出していきます。どのように付き合えばいいでしょうか?
当社は20人程度の零細企業ですが、社長は親会社から天下ってきます。2年前に来た社長は「アナグマ」で、ほとんど社長室から出てきません。コミュニケーションをとる従業員は、経営会議などで顔を突き合わせる各部門長くらいしかいません。にもかかわらず先日、突然私の部門のミーティングに顔を出し「赤字を解消しろ、残業を減らせ、生産効率を上げろ、暗い、コミュニケーション不足」と言って去って行きました。
当社には親会社の仕事をする部署と、社外向けの仕事をする部署があります。親会社関連の部署は既得権益で黒字なのですが、社外向けの部署は赤字になったり時間外勤務が発生したりしています。社外向けの案件に対して対応できるスキルを持っている人間が少なく、業務に偏りが出てしまうのが原因です。(赤字は)社員の責任ではないと思うのですが、一方的に決めつけられ、何を根拠にしているかは不明ですが、暗くてコミュニケーション不足とまで言われてしまいました。
特別明るいとは言いませんが普通に仕事をしており、コミュケーションも不足しているようには感じません。そんな一方的な社長ですので、最近は部長がどうしてよいか分からず思考停止に陥ってしまい、「社長が言ったから」という指示しか出せなくなりました。危機感が募る一方ですが、どうしたらよいでしょうか。
(35歳、女性、会社員)
上田準二:勝手な推測だけれど、社長さんは「最後のご褒美」として親会社から天下ってきている可能性が高そうだ。20人規模の企業とのことだから、親会社の課長か部長がある年齢に達したら処遇されるポストの1つなんだろうね。
僕が勤めていた総合商社にも数百の子会社があったけれど、その目的は大きく3つある。まずは新規事業を機動的に展開するために設立する、戦略的な子会社だ。独立性を持って事業拡大を進めるのがミッションだね。2つ目は、親会社の一部の機能を分社化して経営効率化を目指すもの。そして3つ目が、コスト削減を目的にルーティンワークを社外に「アウトソーシング」するための子会社だ。
小笠原啓(日経ビジネス編集):投稿には「親会社の仕事をする部署」と書かれているので、3つ目のタイプである可能性が高そうですね。
上田:そう考えると、2年前にやってきた社長が「アナグマ」になっていることの説明がつきそうだ。親会社からのアウトソーシング先だと社長自身が認識しているなら、事業をどんどん発展させようという意識は薄いだろうね。会社員人生の最後のポジションだと考えて、問題を起こさないように息を潜めているんじゃないかな。
小笠原:社長ともなると、やっぱり自分の部屋を持ちたくなるのでしょうか?
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