上田準二さんの「お悩み相談」。今回は上司との関係に悩む42歳の男性からの投稿です。直属の上司が部下から相談を「スルー」するため、困った部下から頼られて仕事が増えているのだとか。上田さんは「何もしない、無能な上司に仕えている方が鍛えられて幸せだ」とアドバイスします。
※読者の皆さまから、上田さんに聞いてほしいお悩みを募集しています。仕事、家庭、恋愛、趣味など、相談の内容は問いません。ご自由にお寄せください。
悩み:直属の上司が部下からの相談を「丸投げ」するため、困った部下の対応に忙殺されています。人任せな上司に振り回されてばかりでつらいです。
百貨店で売り場の責任者をしているのですが、2つの売り場を管轄する直属の上司との関係に悩んでいます。「責任者」についての考え方が大きく異なっているため、上司の言動に一喜一憂させられるのです。
部下の業務内容を把握した上で担当部署を取りまとめ、都度フォローや指導をしていくのが責任者のあるべき姿だと私は考えます。相談されたことについては、解決まで責任を持って導くのも当然でしょう。
しかし直属の上司は部下からの相談事があるたびに「知らない」「分からないから○○君(私のことです)に聞いてみて」と答えるらしく、困った部下が皆、私のところにやってきます。私が休日の場合に「明日○○君に聞いて」と言うため、休日明けは業務があふれて大変です。事なかれ主義で、面倒なことはやらない、新しいことには手を出さない、問題が起きても何とかなる、と人任せな上司に振り回されているのが実情です。
私自身も考えを変えて、「上司は何もやらない人、やってくれたらすごくラッキー」と思うようにしていますが、想像を上回る言動があると再び心が折れます。人事異動で部署を離れるまでの辛抱と思っていますが、この先どのようにモチベーションを高めていけばいいでしょうか。アドバイスお願いします。
(42歳、男性、会社員)
上田準二:上司と部下の関係は、このコラムの永遠のテーマだけど、今回の相談者さんは恵まれている方じゃないかな。重箱の隅をつつくように1から10までネチネチと指示する上司と比べれば、「良きに計らえ」と言って何もしないタイプの方がやりやすい。推測だけれど、相談者さんがきちんと業務をこなして報告さえしておけば、パワハラめいた扱いを受けることはなさそうだしね。
小笠原啓(日経ビジネス編集):確かにそうかもしれませんが、上司と直接向き合う相談者さんの悩みは深そうです。上田さんのようにずぶとい神経の持ち主なら、馬の耳に念仏とばかりに受け流せるのでしょうが、大半のビジネスパーソンは上司の発言に一喜一憂するのではないでしょうか。
上田:ならばなおさら、気の持ちようが大事になるよね。上司の性格や言動を変えるのは難しそうだから、相談者さんの心構え次第で悩みは解決する気がするよ。
相談者さんのご不満は、自分が描く「上司の理想像」と現実の上司が極めて大きく乖離(かいり)していることだよね。部下の業務内容を把握して担当部署を取りまとめ、部下のフォローを欠かさないのが理想なのだろうけど、そんなスーパーマンみたいな上司はなかなかいない。お勤めの百貨店だけでなく、他社に目を転じても探し出すのは難しいんじゃないかな。ならばきっぱり割り切るしかない。理想とはほど遠い上司の下で、いかに結果を出すかという点に集中すべきだと思うんだよね。
小笠原:上司が仕事を「丸投げ」する傾向があることも、悩みの種のようですが。
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