子供から心配されるのはうれしいものだ
上田:僕も受けたけれど、事前に問題集などを見て予習しておかなかったら合格点を取るのは厳しかったかもしれない。記憶力や瞬間的な判断力が一定の基準に達しないと「認知症のおそれがある方」と判定され、改めて臨時適性検査を受けたり医師の診断書を提出したりすることが求められる。若い人からすればどうってことないテストでも、70代半ばにもなると簡単じゃなくなるんだよ。判断力やスピードの衰えを自覚する機会になるんじゃないかな。
小笠原:一方で、免許を返納してしまうと日常の移動手段の1つがなくなります。不便を覚悟する必要がありますよね。

上田:確かにその通りだけれど、車を持たないことが前提になれば次第に不都合を感じなくなるでしょう。僕の周囲にも免許を返納した高齢者はたくさんいるけれど、みんな適応しているようだよ。遠隔地に行くなら公共交通機関を使えばいいし、近場の買い物ならタクシーを呼べばいい。慣れの問題だと僕は思うけどね。
小笠原:上田さんは息子さんから免許返納を促されたことはありますか?
上田:まだないね。僕が運転する車に乗ることも多いぐらいだよ。
小笠原:近い将来、返納を促されたらどうします? 「年寄り扱いするな!」と感じるのでしょうか。
上田:逆に、心配されていることをうれしく感じるんじゃないかな。親の安全を気に掛けてくれていることの証拠だから。それを受けて免許を返納するか、まだ大丈夫だと考えるかはそのときにならないと分からないけれど、息子から促されて反発することはないだろうね。
小笠原:それより前に、助手席に座っている奥さんからダメ出しが出るかもしれませんね。
上田:鬼教官だからね(笑)。車線変更でウインカーを出すタイミングが遅いとか、横断歩道の前ではちゃんと減速しなさいとか、最近やたらと指導が増えてきた気がするよ。こうして小笠原君としゃべっている間に、ちょっと不安になってきた。僕や相談者さんのお父さんの判断力が、以前と比べて鈍っているのは悲しいけれど事実でしょう。危険を自覚できるうちに手を打たないといけない問題なんだろうね。
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