子供から心配されるのはうれしいものだ

上田:僕も受けたけれど、事前に問題集などを見て予習しておかなかったら合格点を取るのは厳しかったかもしれない。記憶力や瞬間的な判断力が一定の基準に達しないと「認知症のおそれがある方」と判定され、改めて臨時適性検査を受けたり医師の診断書を提出したりすることが求められる。若い人からすればどうってことないテストでも、70代半ばにもなると簡単じゃなくなるんだよ。判断力やスピードの衰えを自覚する機会になるんじゃないかな。

小笠原:一方で、免許を返納してしまうと日常の移動手段の1つがなくなります。不便を覚悟する必要がありますよね。

1946年秋田県生まれ。山形大学を卒業後、70年に伊藤忠商事に入社。畜産部長や関連会社プリマハム取締役を経て、99年に食料部門長補佐兼CVS事業部長に。2000年5月にファミリーマートに移り、2002年に代表取締役社長に就任。2013年に代表取締役会長となり、ユニーグループとの経営統合を主導。2016年9月、新しく設立したユニー・ファミリーマートホールディングス(現ファミリーマート)の代表取締役社長に就任。2017年3月から同社取締役相談役。同年5月に取締役を退任。趣味はマージャン、料理、釣り、ゴルフ、読書など。料理の腕前はプロ顔負け。2019年5月末に相談役を退任。(写真:的野弘路)
1946年秋田県生まれ。山形大学を卒業後、70年に伊藤忠商事に入社。畜産部長や関連会社プリマハム取締役を経て、99年に食料部門長補佐兼CVS事業部長に。2000年5月にファミリーマートに移り、2002年に代表取締役社長に就任。2013年に代表取締役会長となり、ユニーグループとの経営統合を主導。2016年9月、新しく設立したユニー・ファミリーマートホールディングス(現ファミリーマート)の代表取締役社長に就任。2017年3月から同社取締役相談役。同年5月に取締役を退任。趣味はマージャン、料理、釣り、ゴルフ、読書など。料理の腕前はプロ顔負け。2019年5月末に相談役を退任。(写真:的野弘路)

上田:確かにその通りだけれど、車を持たないことが前提になれば次第に不都合を感じなくなるでしょう。僕の周囲にも免許を返納した高齢者はたくさんいるけれど、みんな適応しているようだよ。遠隔地に行くなら公共交通機関を使えばいいし、近場の買い物ならタクシーを呼べばいい。慣れの問題だと僕は思うけどね。

小笠原:上田さんは息子さんから免許返納を促されたことはありますか?

上田:まだないね。僕が運転する車に乗ることも多いぐらいだよ。

小笠原:近い将来、返納を促されたらどうします? 「年寄り扱いするな!」と感じるのでしょうか。

上田:逆に、心配されていることをうれしく感じるんじゃないかな。親の安全を気に掛けてくれていることの証拠だから。それを受けて免許を返納するか、まだ大丈夫だと考えるかはそのときにならないと分からないけれど、息子から促されて反発することはないだろうね。

小笠原:それより前に、助手席に座っている奥さんからダメ出しが出るかもしれませんね。

上田:鬼教官だからね(笑)。車線変更でウインカーを出すタイミングが遅いとか、横断歩道の前ではちゃんと減速しなさいとか、最近やたらと指導が増えてきた気がするよ。こうして小笠原君としゃべっている間に、ちょっと不安になってきた。僕や相談者さんのお父さんの判断力が、以前と比べて鈍っているのは悲しいけれど事実でしょう。危険を自覚できるうちに手を打たないといけない問題なんだろうね。

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