上田準二さんの「お悩み相談」。今回の相談は、過去に「マタニティーハラスメント」を受けた経験を持つ42歳の女性から。新しい環境でバリバリ働いていたところ、昔の上司から過去を正当化するようなメールを受け取り、はらわたが煮えくりかえっているとこぼします。上田さんは「いんぎん無礼なメールを返して、意識から排除しよう」とアドバイスします。

※読者の皆さまから、上田さんに聞いてほしいお悩みを募集しています。仕事、家庭、恋愛、趣味など、相談の内容は問いません。ご自由にお寄せください。

>>悩みの投稿<<

悩み:マタハラで嫌な思いをさせられた昔の上司から、過去を正当化するようなメールが届きました。腹が立って仕方がありません。

 過去の「マタニティーハラスメント(マタハラ)」から逃れられずにいます。誰に聞いても何を読んでも「忘れるのが一番」とありますが、うまくできず悩んでおります。

 数年前に育休から復職し、子供や自身の体調で突発的な休みや早退が多かった頃のことです。当時の上司から「もっと働かせるはずが期待外れ、ほかの女性社員(全員独身)に迷惑だし不公平だ」と叱責されました。それが理由と明言の上、考課も低くされ、自分は邪魔者だと感じ異動を願い出ましたが聞き入れられず、望まない庶務業務ばかり任されました。数年後その上司は異動し、新上司からやりがいのある仕事を頂き、会社が楽しくなりました。

 しかし先日、前の上司からメールが届き、「当時の自分に思うところもあっただろうが、人にはそれぞれの正義がある」と書かれていました。私には自分を正当化した言い訳にしか見えませんし、ようやく心の傷が癒えてきたのに今さらなぜこんなことを私に言うの?と、はらわたが煮えくりかえる思いです。復職当時の感情が再び湧き上がり、一人のときに涙が出たり、家族に八つ当たりをしたりしてしまいます。弱い自分も悔しいですし、ご本人に言い返すと角が立つでしょうし、上田さん、私はどうすればうまく過去と折り合いをつけられるのでしょうか。アドバイスを頂けますと幸いです。

(42歳、女性、会社員)

上田準二:改めて「忘れるのが一番だ」とアドバイスしたいけれど、一筋縄でいかないこともよく分かる。僕自身も長い人生の中で、嫌なことや恥ずかしいこと、怒りを覚えた経験がたくさんあるけれど、いくつかはどうしても忘れられないからね。どれだけ消したいと願っても、心のどこかに刻みつけられたように思い出してしまう。

小笠原啓(日経ビジネス編集):挫折や失恋など人によって様々でしょうが、相談者さんにとっては上司からのメールが忘れられない記憶になるかもしれませんね。

上田:深く感情を揺さぶった思い出は、努力してもおそらく死ぬまで消えないでしょう。さて、そういう場面に遭遇した相談者さんが明日からどんな気持ちで人生を過ごしていくのか。僕は力士がインタビューでよく述べる「一日一番」という言葉が参考になると思うんだ。

 アナウンサーなどに「今日は手痛い負けでしたね」と話題を振られたときに、力士が「一日一番、明日も頑張ります」などと返すんだけど、要するに目の前の取組に集中するという意味だね。嫌なことや腹が立つことは勝負の世界につきものだけど、過去を引きずるようでは翌日の取組もうまくいかない。力士は一日一番と唱えることで、気持ちを切り替えているのでしょう。

小笠原:大相撲の場合、千秋楽を除けば翌日も取組があります。相談者さんも「次の一番」を見据えて準備しようということでしょうか?

次ページ 「いんぎん無礼」なメールを返信したらどうか