上田準二さんの「お悩み相談」。今回の相談は両親の金銭トラブルに悩む29歳の女性から。両親が自己破産する一方で、身内からの借金は肩代わりすることになったのだとか。上田さんは「まずは専門家に相談しよう。人生における試練だと考えて取り組めば、新たな道が見えてくるはずだ」と話します。
※読者の皆様から、上田さんに聞いてほしいお悩みを募集しています。仕事、家庭、恋愛、趣味など、相談の内容は問いません。ご自由にお寄せください。
悩み:両親が自己破産することになりました。子供としてどこまでサポートすればいいですか?
両親が多重債務を抱えていて、自己破産をすることが決定しました。子供の頃からお金がないと言われて育てられましたが、なんだかんだ奨学金を活用して大学に妹と2人とも通わせてくれたので今回の件にはびっくりしています。
父の個人事業がうまくいかず、母はパートでなんとかやりくりしていたようです。最低でも身内の借金だけは返したい、とのことで自己破産前のその借金は私と妹で肩代わりすることになりました。さらに父方の亡くなった祖父母の遺産相続トラブルも私が引き継ぐことになりました。
両親は既にメンタルが疲弊しており、妹に心療内科へ連れて行くことを提案しています。自己破産しても税金を払う必要があります。私だけ東京におり、家族は地元に残っています。両親は離婚も視野に入れているため、それぞれの住居をどうするかも考えないといけません。私と妹の経済事情も将来も不安になってきました。
この大きな問題が片付くまでの数年間、両親が亡くなるまでの20年程度、どのような気持ちでやっていけばいいのでしょう。とにかく私は稼ぐぞという気持ちしかありません。
(29歳、女性、会社員)
小笠原啓(日経ビジネス編集):一般的に、親が事業でつくった借金を子供が返済する義務はありませんよね。何か特殊な事情があるのでしょうか。
上田準二:投稿にあるように遺産相続のトラブルで身内と何かあったのかもしれないけれど、限定的な情報ではなかなか判断できないね。原則論としては、子供が親の借金を肩代わりする必要はないはずだから、まずは法律事務所や役所の窓口に行って相談してみよう。こういう金銭トラブルでは、専門家の助言が欠かせないからね。
大事なのは、相談者さんや妹さんの生活をプロテクトすること。身内への返済が大変なのであれば、弁護士などを間に入れて契約などを見直そう。返済年数の延長や減額、あるいは契約の解除といった対策について、資格を持った専門家がアドバイスしてくれるでしょう。
小笠原:法律面の相談はプロにお任せするとして、相談者さんはまだ29歳。重たい荷物を背負ってしまいましたね。
上田:気になるのはご両親の関係だよね。巨額の負債を抱えた夫が妻への影響を最低限に抑えるため、あえて離婚を検討することは珍しくない。相談者さんのケースがそれに該当するかは不明だけれど、かつてと同じような生活が営めなくなったことは間違いなさそうだ。精神面での負担が増して、一緒に生活できないという関係になっているのであれば、離婚もやむを得ないかもしれないね。
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