上田準二さんの「お悩み相談」。今回は海外に留学と駐在した経験がある48歳の男性から。自分と同じような教育機会を子供に与えられるかどうか、留学費用を考えると不安が募るそうです。上田さんは「40代が資金面で最もつらい時期。奨学金などを使って乗り切ろう」と助言します。

※読者の皆さまから、上田さんに聞いてほしいお悩みを募集しています。仕事、家庭、恋愛、趣味など、相談の内容は問いません。ご自由にお寄せください。

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悩み:子供が若いうちに海外生活を経験させたいのですが、留学費用が高過ぎます。どうすればいいでしょうか?

 大手メーカーで投資家対応の仕事をしています。高校時代にオーストラリアへ交換留学し、英語を武器に就職。これまで海外勤務を2度経験しました。両親がきちんと教育してくれたことに感謝する日々ですが、自分の子供に同じような機会を与えられるか心配です。

 視野を広げるためには若いうちに海外生活を経験した方がいいと考える一方で、昔と今とでは留学にかかる費用が桁違いになっています。私の給料ではとても支払えそうにありません。どうすればいいでしょうか?

(48歳、男性、会社員)

小笠原啓(日経ビジネス編集)米紙U.S. News & World Reportのまとめによると、米ハーバード大学の授業料および諸経費は年5万5587ドル(約750万円、2022年)。いわゆるアイビーリーグと呼ばれる名門私立大学もほぼ同水準で、生活費などを考慮すると年間1000万円超の教育費を覚悟しないといけないようです。

上田準二:米国が特に高額なのかもしれないけれど、昔と比べて留学費用がかなり高騰しているのは間違いなさそうだね。相談者さんは大手企業にお勤めで、48歳なら管理職の公算が大きい。給与水準は日本のビジネスパーソンの平均と比べて、かなり上の方に位置するはずだ。だけど年間1000万円を支払えるかといったら、かなり厳しいかもしれないね。住宅ローンなどを抱えているならなおさらだ。

小笠原:年齢から逆算すると、相談者さんが高校時代を過ごしたのは1990年代前半。日本円の購買力が非常に高かった時期ですよね。その後、デフレに苦しんだ日本とは対照的に海外ではインフレが進行した。寂しい限りですが、日本人が気軽に留学できる時代は終わったのかもしれませんね。

上田:それはその通りなんだけど、あっさり諦めていいのだろうか。子供の教育は、親にとって最大の仕事だと言っても過言ではない。チャンスが得られるよう、あらゆる手段を考えてみよう。

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