上田準二さんの「お悩み相談」。今回の相談は47歳の男性から。会社の方針で4~5年ごとに新しい部署に異動させられ、管理職昇進の機会を失っていることに不満があるそうです。上田さんは「大企業でジョブローテーションは当たり前。自分から変わろうという意識が重要だ」と気合を入れます。

※読者の皆さまから、上田さんに聞いてほしいお悩みを募集しています。仕事、家庭、恋愛、趣味など、相談の内容は問いません。ご自由にお寄せください。

>>悩みの投稿<<

悩み:異動を繰り返したためか、管理職への昇進機会が失われました。定年までの10数年を、現在の役職と給与で全うするのは残念です。

 大手メーカーの管理部門で勤務しています。会社の方針に翻弄(ほんろう)され、所属部署が売却されたり、組織再編で人員削減されたりしています。結果、4~5年に1度、これまでの業務と関係ない部署をたらい回し的に異動させられることが続いています。

 異動するたびに業務知識がリセットされ、ゼロからのスタートを強いられます。仲のいい上司も見当たりません。そのためでしょうか。管理職への昇進の機会が失われたまま現在に至っています。

 もちろん、自分の能力が相対的に不足している部分があるため、現在の状況にあるのは十分理解しています。会社の評価では責任感が強く一定の結果は出しているものの、チャレンジ精神や自律的に業務を進める力が弱いとのことです。

 私自身は昇進には無頓着でした。どこの部署でも前向きに全力で取り組むことが大事で、必ず誰かが評価してくれていると考えてきました。しかし社内を見ると結局、昇進スピードが速い人は同じ部署で長く業務を手掛け、上から使いやすい人間であるのは事実のように思います。直属の上司に相談しても、会社の方針が変わってしまったから、自分ではどうしようもないなどと真剣に向き合ってくれません。さらに上の上司は役員クラスでどこまで自分の働きぶりを見てくれているか分からずに相談できていません。

 定年まであと10数年ですが、このまま現在の役職と給与で会社員人生を全うするのは残念でなりません。外を見て、転職をするにも年齢的に納得の行く転職先を探すのは正直難しいと認識しています。このような状況を打開するために、どうすべきか、何かアドバイスを頂ければと思います。よろしくお願いいたします。

(47歳、男性、会社員)

上田準二:相談者さんは大手メーカーにお勤めのようだから、いろいろな部署を数年おきに異動するのはむしろ当たり前かな。僕自身もファミリーマートに転じるまで、子会社出向も含めて4~5年に1度は部署を変わっている。異動するたびに知識がリセットされて、ゼロからスタートするというのはまさにその通りで、適応するのは大変だよね。

 だけど、過去の経験がマイナスになるかと言うと、決してそんなことはない。異動したての頃は仕事のやり方を覚える必要があるから、古参の人と比べたら効率は劣るでしょう。だけど業務を覚えた後は、前にいた部署での経験が生きてくるはずだ。社外も含めた人脈や、違う領域で得た知見などが相談者さんの武器になっていると思うんだよね。

小笠原啓(日経ビジネス編集):職務内容をあらかじめ規定する「ジョブ型」人事制度をとる欧米企業とは異なり、日本企業の多くは複数の部署をローテーションすることで経験を積ませる傾向がありますよね。

上田:僕が社長だった頃のファミリーマートもそうだった。同じ部署にいるのは最長でも5年。通常は3年程度で異動させるよう、人事部門に計画を立ててもらっていたんだよね。

 ファミリーマートの根幹は、営業の最前線であるコンビニエンスストアにある。経理もITシステムも新商品も、全ては35坪の店につながっていく。したがって、本部社員はできるだけ多くの部署で経験を積み、知識や知見を培ってほしい。入社してから定年まで、同じ人を同じ部署にとどめているようでは組織も会社も活性化しない。挑戦を続けて売り上げと利益を増やすには、人事を通じて刺激を与え続けることが大事だと考えていたからね。

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