上田準二さんの「お悩み相談」。今回の相談は58歳の男性から。グループ会社に出向したところ、親会社時代に苦しめられた上司と再会。パワハラめいた言動を投げかけられるのが悩みだと打ち明けます。上田さんは「残り少ない会社員人生、毅然とした態度で立ち向かおう」と背中を押します。

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>>悩みの投稿<<

悩み:グループ会社に出向したところ、親会社時代に苦しめられた上司に再会しました。パワハラめいた言動にどう対応すればいいでしょうか?

 昨年、39年間勤めた鉄道会社からグループ会社への出向を命じられました。全く違う業種にもかかわらず楽しく働いているのですが、最近、人間関係の問題が浮上しました。親会社で十数年も嫌な思いをさせられた上司が、既に同じグループ会社に出向しており、直属の上司になってしまったのです。

 この上司はコンプライアンス意識がかけらもない人で、平気で出向会社内での異動をちらつかせ、威圧的な言葉を浴びせてくるのです。グループ会社には3つの事業所があり、それぞれ業種が異なります。異動となるとかなりの負担になると危惧しています。また、私はもともと助役(=監督職)だったので同じ待遇で出向しています。にもかかわらず一般社員と同じ仕事もさせられます。新しい上司が、勝手に仕事を割り振っているのです。

 勤めていた鉄道会社では一般的に57歳で出向し、定年退職までの約8年間を同じ事業所で過ごすのが通例でした。今の上司はそれも気にくわないらしく、逆らう者は無理やり異動させるつもりのようです。

 年に数回出向先の社長と話せる機会もあるのですが、そこで何か一言でも言おうものならすごい剣幕(けんまく)で脅してきます。私はただ、今の仕事を最後までやり遂げて仲間と楽しく働きたいだけなのです。この問題上司の横暴には屈服するしかないのでしょうか?

(58歳、男性、会社員)

小笠原啓(日経ビジネス編集):仲間と楽しく働きたいだけなのに、上司が余計な介入をしてくる。あらゆるビジネスパーソンが抱える悩みでしょうが、人事異動をちらつかせて従わせようとするのは悪質ですね。

上田準二:投稿にある上司と相談者さんは、以前から性格や価値観が合わなかったんだろうね。期せずして出向先で再会したことで上司の記憶が再燃し、昔を思い出して無理難題を言うようになったのではないかと推測します。

 では、こうした状況をどうすればいいか。まずは自分の信条に立ち返って考えてみましょう。相談者さんが重視するのは、会社で楽しく仕事をすることでしょう。定年までの7年間は、半世紀近くにわたる会社員人生の最終章。その貴重な時期を、脅しに屈して惨めな思いを抱いたまま過ごしていいのか。じっくり考えてみよう。

 上司の言動が理不尽なのであれば、あらかじめ具体的な事実を整理しておくことが大事だよね。次にそういう場面に出くわしたとき、きっちり論理的に伝える準備をしておけば心に余裕ができるはずだ。相談者さん自身がコンプライアンス違反を犯していたり、仕事で不始末を起こしたりしたのであれば話は別だ。でも、与えられた業務を通常通りこなしているのに、人事を振りかざして脅すのは明白なパワハラだ。真っ向から対決すべきだよね。

小笠原:上司なら、異動などの人事権を持っていそうです。

上田:会社によるけれど、出向している相談者さんの人事権を同じく出向社員である例の上司が持っているとは考えにくい。グループ会社の従業員は1000人以下のようだから(注:投稿時に企業規模についても伺っています)、人事権は社長にあるはずだ。

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