上田準二さんの「お悩み相談」。今回の相談は化学メーカーで働く40歳の女性から。最近昇進したものの、女性登用の風に後押しされているようで不安なようです。上田さんは「20年後のことなど考えず、日々の業務を着実にこなせば実力が付いて不安も消えるはずだ」と助言します。

※読者の皆様から、上田さんに聞いてほしいお悩みを募集しています。仕事、家庭、恋愛、趣味など、相談の内容は問いません。ご自由にお寄せください。

>>悩みの投稿<<

悩み:化学メーカーに勤める40歳の女性です。今年チームリーダーになったのですが、自信が無いまま、会社の女性登用の動きに後押しされて昇進してしまいました。レースを強いられている印象があるのですが、あと20年、どんな心構えで過ごせばいいでしょうか。

 化学メーカーの事業開発を担当する部署で、今年チームリーダーになった40歳女性です。小学生と保育園の子持ちです。

 会社の女性登用の動きで、自信が無いまま、あれよあれよという間に昇進してしまいました。ここが勝負と思い頑張ってはいますが、あと20年このまま頑張り続けられるのかが不安です。

 どこかでポキッと折れるのか、実力を付ける前にポイされるか、もっと優秀な後輩女性たちに追い抜かれるのが先か、レースを強いられている感じもあって戸惑っています。

 どんな心構えであと20年を過ごせばいいか、アドバイスいただけるとうれしいです。

(40歳、女性、会社員)

上田準二:まずは相談者さんに「おめでとう」と言いたいね。女性を幹部に登用するのは世の流れで、あなたは会社が求める基準をクリアしたわけです。女性なら誰でもよいわけではない。才能を持っていて、なおかつ仕事ぶりが評価されたからこそ昇進したのだと自信を持ちましょう。

 チームリーダーになったからといって、働きぶりを変える必要は全くない。これまでと同様に与えられている業務やミッションをこなし、目の前の課題に向き合って働くことが何よりも重要ですよ。仕事に対する積極性や情熱を持ち、明日も明後日も、来週も再来週もずっとその気持ちをキープして常にベストを尽くせば、不安は自然と解消されていくはずです。

 先々のことを心配したり、誰かに追い抜かれることを考えたりする必要はありません。そういうことを考えすぎると、かえって現実になる危険性すらありますよ。邪念を取り払って一日一日を精いっぱい過ごすことです。

小笠原啓(日経ビジネス編集):「あれよあれよという間に昇進した」と投稿には書かれています。想定外の昇進スピードに戸惑っているようですね。

上田:気にすることは全くないね。大手企業はこぞって女性活用を進めているし、ジェンダー問題は重要な経営課題になっている。その中で相談者さんが選ばれたということでしょう。新しい立場になったことで不安に思うかもしれないけれど、そのうちに身の丈が追いついてきますよ。

小笠原:日経ビジネスは2013年、『女性昇進バブル』という特集記事を掲載し、女性管理職を“大量生産”する企業の姿や、現場が直面した混乱を描きました。目次を見るだけでも、当時の雰囲気が伝わってきますね。

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