上田準二さんの「お悩み相談」。今回の相談は国家資格を持つ28歳の男性から。40代相当の年収をもらって海外赴任も経験、すてきな奥さんとも結婚した一方で「うまくいきすぎて天狗(てんぐ)になりそう」なのが怖いのだとか。上田さんは「自分が高みに到達したと考えるのはまだ早い。上には上があると気を引き締めよう」とアドバイスします。

※読者の皆様から、上田さんに聞いてほしいお悩みを募集しています。仕事、家庭、恋愛、趣味など、相談の内容は問いません。ご自由にお寄せください。

>>悩みの投稿<<

悩み:社内最年少で海外に赴任して給料も上昇、すてきな奥さんとも結婚しました。公私ともにうまくいきすぎていて怖いです。

 6年制大学を卒業し、国家資格を持つ28歳の男性です。資格があれば大丈夫だと甘く考えて就職活動に挑み、今いるBtoB(企業間取引)企業の開発組織に滑り込みました。入社以来、特に成果を上げてはいないのですが、奇抜なアイデアが経営層の心をつかんだのか、社内最年少で海外赴任する機会をもらえました。それに伴い昇給し、40代になってからもらうだろうと推測していたレベルの年収に到達。正直、困惑しています。運も実力のうちとは言いますが、あまりにも幸運すぎるため、実力で評価されていないような気がしてならないのです。

 そんな中、闇雲に自分をブラッシュアップしようと語学やマーケティング、経営の勉強をしていますが、それがどう生きてくるのかが分かりません。このまま進んでいいのか、折に触れて不安を覚えます。

 最近すてきな奥さんとも結婚し、プライベートでの幸せも感じます。公私ともに自分の中でうまくいきすぎているという思いがどうしても拭えません。心の中では否定的な言葉や不安が湧き上がってしまいます。状況を素直に受け入れられないし、受け入れても天狗になりそうで怖いという思いから、心のモヤモヤがなくなることがありません。こういう状況で悩む、というのもおかしな話なのですが、若すぎる段階で過剰な評価をいただいている現状に、どう向き合えばいいのでしょうか。厳しいご意見の程、よろしくお願い致します。

(28歳、男性、会社員)

小笠原啓(日経ビジネス編集):久しぶりにぜいたくな悩みですね。若い頃から高給をもらって会社のお金で海外に赴任させてもらい、すてきな奥さんとも結婚できたとのこと。投稿を代読するうちに嫉妬がこみあげてきたのは、私の器の小ささ故でしょうか。思い上がった若者を、ぜひ厳しく叱ってください。

上田準二:いいのかい? 読者が減ったりしないかな。

小笠原:読者の多くも私と同意見のはずです(断言)。「厳しい意見」は相談者さん自身の希望でもありますので、バッサリやっていただければ。

上田:分かったよ。たまにはいいかもしれないね。

 まず指摘しておきたいのは、相談者さんが既に「天狗(てんぐ)」になりかけているということかな。本人は否定しているようだけれど、周囲が見えていない印象だね。上には上があるはずなのに、自分がすごいレベルに達してしまったと錯覚しているようだ。20代のうちからこんな気持ちになっていると、早晩、「こんなはずじゃなかった」と挫折する時期が到来するのではないかな。

小笠原:6年制大学を卒業して現在28歳。社会人歴は4年ほどという計算になりますね。

上田:大きな会社だと20代後半で将来の幹部候補を選抜し、研修や海外留学などをさせるんだけど、これを「評価」と考えるのは甘いんじゃないかな。上層部が期待しているのは間違いないけれど、評価されるのは結果を出してからでしょう。「若すぎる段階で過剰な評価」と認識していると、足をすくわれかねないよ。相談者さんが見えていない場所に、たくさんの競争相手がいるはずだから。

小笠原:年収面や海外赴任経験などを考えると、かなりのスピード出世のように思いますが。

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