上田準二さんの「お悩み相談」。今回の相談は事務職として働く34歳の女性から。勤める会社は5年ほどで廃業する予定ですが、後任が雇えないため退職ができないのが悩みだと打ち明けます。上田さんは「だめもとで、後継者として立候補してみたらどうか」と背中を押します。

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>>悩みの投稿<<

悩み:中小企業で働いているため後任を雇ってもらえず、退職ができずに悩んでいます。お世話になった会社なので、放り出したくありません。社長はあと5年ほどで廃業するつもりのようですが、どのような心持ちで過ごせばいいでしょうか。

 ファストフードチェーンのフランチャイズ法人で、約10年間バックオフィスの仕事を1人で担当してきました。中小企業のため後任がおらず、退職ができずに悩んでいます。

 社長は70歳を超えており、あと5年ほどで廃業するつもりのようです。それまでに何らかの手を打つ必要がありますが、以前からの事なかれ主義に磨きがかかり、思考力の低下も顕著になってきました。営業の中間管理職も行き当たりばったりの仕事を続け、私が失敗の尻拭いに駆り出されています。

 数年前から問題だと感じており、社長には何度も退職意向を伝えているのですが、そのたびに「後任が雇えない」「私がいなくなるとバックオフィスが回らず、会社が運営できなくなる」という理由で引き留められています。

 自分自身がお世話になった会社なので、後任がいない中で仕事を放り出すようなことはしたくありません。このままだと心を無にして廃業までやり過ごすことになるのかなと思いますが、心身共に限界が近づいているような気がします。何か良い思考の転換法などあれば教えてください。

(34歳、女性、会社員)

上田準二:相談者さんはものすごく仕事ができる人のようだね。営業の中間管理職がミスしてもしっかりフォローして、後始末までしてしまう。バックオフィスに求められる業務と言えばそれまでだけど、周囲の想像以上にできてしまうのでしょう。だからこそ社長を筆頭に、相談者さんを高く評価して頼りっきりになっているわけだ。「いなくなると会社が運営できない」という社長のコメントは、掛け値なしの本音だと思うよ。

小笠原啓(日経ビジネス編集):そこまで頼られると辞めにくいですよね。

上田:人情としてはそうかもしれないけれど、人生を左右する決断は自分で下さないといけないよね。社長自身は会社をあと5年ほどで畳むと言っているんでしょう。周囲に流されるのではなく、どこかで腹をくくって決める必要があるよね。

小笠原:責任感の強さがかえって邪魔をしているようですね。仕事を放り出したくない、という気持ちも理解できます。

上田:だけど、遅くとも5年後には会社がなくなってしまうんだよね。社長の期待に応じて働いてきたけれども、今の延長線上に未来があるのかな。心身共に限界がきていると自覚しているのなら、なおさら早く決断すべきでしょう。相談者さんは34歳とまだ若い。自分の将来のことを考えて、退職の意思を社長に改めて伝えるべきです。

小笠原:でも、後任がいないからという理由で認めてもらえない。

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