上田準二さんの「お悩み相談」。今回の相談は管理部門で働く34歳の女性から。新しい上司の業務能力が低いためサポート業務に忙殺され、頑張れば頑張るほど昇進の道が狭まりそうでやる気が出ないとのこと。上田さんは「能力がある部下がいるからこそ、会社は無能な上司を配置できる。誰かが必ず評価してくれている」と強調します。

※読者の皆様から、上田さんに聞いてほしいお悩みを募集しています。仕事、家庭、恋愛、趣味など、相談の内容は問いません。ご自由にお寄せください。

>>悩みの投稿<<

悩み:50代の上司の能力が低くて困っています。今の仕事を頑張れば頑張るほど、彼の立場が強まって昇進の道が狭まるような気がしてモチベーションが保てません。

 総合商社子会社の管理部門で働いています。もともと総合職は私と課長の2人だけでしたが、数年前に課長が急きょ退職し、代わりに50代の経理のチームリーダー(課長候補という位置付け)がスライドしてきました。チームリーダーの肩書はあるものの実務経験や専門知識が全くないため、私について会議に参加したりメールを共有したりして、学びつつ業務に携わってもらうことになっていました。

 それから何年もたちますが、彼はチームリーダーのまま、新卒同然で仕事ができない状況が続いています。私に仕事が偏り、肩書と実情が見合わないことにとても不満を感じています。私と彼の上司にあたる部長にも何度か相談しました。部長も私の貢献は十分認識している、彼をチームリーダーに任命した責任を感じているとは言っていたものの、解決しませんでした。

 今の仕事はとても好きですが、頑張れば頑張るほど、彼をチームリーダーの座にとどめるために働かされているように感じてしまい、会社への不信感が高まりモチベーションが保てません。彼がいる限り私もこれ以上の昇進が見込めないため、マネジメント経験を積めず年次を重ねることも不安に感じています。このような場合の気持ちの持ちよう、また対処法を教えてください。

(34歳、女性、会社員)

小笠原啓(日経ビジネス編集):無能な上司とどう付き合うか。ビジネスパーソンの誰もが頭を抱える悩みですね。

上田準二:親と上司は選べないと言うけれど、小笠原君の部下の意見もぜひ聞いてみたいところだね(笑)。それはともかく、今回のテーマと全く同じ相談を何十年も前に受けた記憶があるな。どれだけデジタル化が進んでも、人間の営みというのは変わらないとつくづく思うよね。

 僕が40代はじめの頃だったかな。総合商社のコーポレート部門に在籍していたときに、事業会社をどう管理するかがテーマになった。連結決算を重視するにあたり、子会社ごとの経営指標をどうまとめるかが課題だったんだね。そこで主要な子会社の優秀な社員をピックアップして、何回かに分けてヒアリングをしたことがある。すると30代の女性社員から、まさに同じような相談を受けたんだ。

小笠原:業務のことを知らない上司が天下ってきて困っている、と。

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