上田準二さんの「お悩み相談」。今回は、42歳の食品関連の営業マンから。自宅からリモート環境で営業トークをしていると、10歳の娘さんから冷たい視線を浴びせられるのだとか。上田さんは「父親が言っても響かない。母親から間接的に褒めてもらおう」と助言します。

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悩み:自宅からリモート会議で営業トークをしていると、10歳の娘から冷たい視線を浴びせられます。どうすれば仕事の大変さを分かってもらえるでしょうか?

 食品関連の営業の仕事をしています。新型コロナ禍をきっかけにテレワークに移行する得意先が増え、自宅からリモート会議で商品を売り込む機会が増えました。相手をその気にさせるためにパソコン画面越しに営業トークを繰り出すのですが、10歳の娘には「ペコペコしていて格好悪い」と映るようです。仕事の大変さを子供に伝えるにはどうすればいいか、何かヒントがあれば教えてください。

(42歳、男性、会社員)

小笠原啓(日経ビジネス編集):8歳になる私の娘も、父の仕事ぶりを疑問視するようになりました。寝間着のまま自室でパソコンに向かっていると、遊んでいるようにしか見えないのだとか。

上田準二:実際、遊んでいるんじゃないの(笑)。上司や同僚に監視されない在宅勤務だと、自分を律するのが難しいからね。子供の直感は案外正しいものだよ。小笠原君とは違って、相談者さんはきちんと仕事をしているのでしょう。自宅にいながらも真剣に顧客と向き合っているから、娘さんは違和感を覚えるんじゃないかな。

 こうしたケースでは、相談者さん本人があれこれ言っても仕方ないね。「俺はペコペコしていない」とどれだけ主張しても、娘さんが父親に対して抱くイメージは変わらない。家族構成は書かれてないから推測になっちゃうけれど、ここは奥さん、つまり子供の母親の援護を頼むしかないだろうね。

小笠原:娘さんと直接向き合って、父親の立場で仕事内容を説明するのが先決かなと思いましたが。

上田:それだけで効果があるとは考えにくいな。逆に、言い訳だと受け取られかねない。折に触れて「相手にへりくだった対応をするのが営業というお仕事。お父さんは、そういう話し方が特に上手なの」と、母親の立場から言ってもらうほうが効果的だろうね。相談者さんの家庭で問われているのは、父親の「威厳」でしょう。母親が父親を尊敬している姿を見れば、娘さんの態度も自然と変わっていくはずだよ。

 僕の家庭もそうだった。商社時代は絵に描いたようなモーレツ社員だったから、休日返上で朝から晩まで走り回り、子育ては妻に任せっきりだった。たまの休日は昼まで寝ているのが当たり前だったんだけど、あるとき、妻が息子に話しかける声が聞こえてきたんだ。「お父さんは仕事で毎日大変なのよ。遊びたくても起こしにいっちゃいけません」と。

小笠原:いい奥さんですね。

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