上田準二さんの「お悩み相談」。今回のテーマは「働かないベテラン」をどうするか。やんわりお願いしても、電子メールなどで過敏に反発されるのが悩みだそうです。上田さんは「仕事の分担と権限をもう一度明示して、改善されないなら辞めてもらうことも選択肢になる」と話します。

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>>悩みの投稿<<

悩み:ベテラン社員が働かずに困っています。新型コロナウイルス禍で出勤日数が減っているにもかかわらず、仕事を抱え込んで離さないため業務に支障が出ています。「ごね得」のような状況をどう改善すればいいでしょうか。

 全国に拠点がある食品メーカーで営業職をしています。小さな事業所で仕事をしているのですが、50代のベテラン女性社員が働かずに困っています。

 宅配便の発送・受領や備品の調達など庶務一般を担当しているのですが、昨年から在宅勤務に移行し、出勤は火曜日と木曜日のみになりました。一方、自分の権限が奪われるのは嫌なようで、他の人に宅配便関連の仕事を任せることはかたくなに拒否します。ややエキセントリックなところがあり、メールでちょっとお願いすると長文で「できない理由」が送り返されてきます。上司である事業所長に相談しても「あの人を説得するのは無理だから」と、注意すらしてもらえません。「ごね得」のようになっているベテランにどう対処すればいいか、上田さんのご意見を聞かせてください。

(39歳、男性、会社員)

小笠原啓(日経ビジネス編集):いわゆる「働かないおじさん」問題に悩んでいる職場が増えているようですね。書籍が相次ぎ出ていますし、このキーワードをグーグルで検索すると400万件弱がヒットします。「働かないおばさん」なら160万件ほど。40代半ばの私も、後輩にそう思われていないか心配になってきました。

上田準二:実際はどうなの?

小笠原:コマネズミのように朝から晩まで働いているのですが、リモート環境だとなかなか伝わらないんですよね。「こんなに忙しいんだ」と、アピールするのも何だか格好悪いですしね。

上田:まさに今、ここでアピールしてるじゃないか(笑)。本題に戻すと、今回の相談者さんは恐らくパート社員との関係に悩んでいるんだろうね。火曜日と木曜日しか出社しないという正社員は一般的にはちょっと考えにくいから、その前提でちょっと考えてみよう。

小笠原:相手が正社員かパート社員かで、仕事の頼み方や指示の出し方は変わってきますよね。

上田:そうだね。僕も昔、食品メーカーに出向していたことがあるけれど、2~3人の正社員で100人超のパート社員を管理するのは珍しくなかった。製造ラインで働いているのは、ほとんどがパート社員だったからね。事前に「どういう時間帯にどんな作業をすれば、いくらの報酬を支払う」という条件を明示した上で採用していた。

 もしかしたら相談者さんの会社では、そうしたミッションをきっちり提示せずにパート社員の方を雇い続けているのかもしれない。仕事の分担や権限が曖昧なまま、あれもこれもと仕事を頼んできたのだとしたら、ベテランの方が怒るのも無理はないかなと思うね。いい機会だと考えて「火曜日と木曜日は宅配便の仕事をお願いしますが、別の曜日は他の担当者に任せますので、理解してください」と改めて言えばいいんだよ。取引先からのFAXやバイク便はいつ届くか分からない。きちんと担当者を決めておいた方が、円滑に仕事を進められるのは間違いないからね。

小笠原:相談者さんの最大の不満は恐らく、腫れ物に触るような対応を取る上司に向けられているのだと思います。投稿には「ごね得」とも書かれています。

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