上田準二さんの「お悩み相談」。今回は、テレワークによって仕事とプライベートの切り分けが難しくなったという女性からの相談です。一日中仕事に追いかけられているように感じるのだとか。上田さんは「オンオフの切り替えは、会社も取引先もしてくれない。自分の心がけ次第だ」とアドバイスします。
※読者の皆様から、上田さんに聞いてほしいお悩みを募集しています。仕事、家庭、恋愛、趣味など、相談の内容は問いません。ご自由にお寄せください。
悩み:昨年から全社でテレワークに移行したことで、「オン」と「オフ」の切り替えが難しくなりました。自宅からも業務に必要なデータにアクセスできるため、「会社を出てしまったので明日対応します」という言い訳が使えなくなったのです。一日中、仕事に追いかけられているようで気が休まりません。
金融機関に勤めています。昨年から全社的にテレワークに移行したのですが、オンオフの切り替えができなくなってしまいました。
新型コロナウイルスの感染拡大前は、出社して自分専用のパソコンを使わないと業務で必要なデータにはアクセスできませんでした。そのため、会社を離れると物理的に仕事ができずオンとオフの境目がはっきりしていました。しかしコロナ禍がきっかけでテレワーク環境が整備され、自宅のパソコンからも業務データを見つつ仕事をこなせるようになりました。以前は「会社を出てしまったので明日対応します」と、社外に言い訳して仕事を後回しにしていたのですが、今はそんなこともできません。
通勤時間がなくなったのはいいのですが、むしろ一日中仕事に追いかけられているような気がします。在宅勤務をしながら、どうすればオンとオフをうまく切り替えられるでしょうか。
(46歳、女性、会社員)
上田準二:こうした悩みを抱えている人は、新型コロナ禍で相当増えているんだろうね。
小笠原啓(日経ビジネス編集):連合が昨年6月に実施した「テレワークに関する調査2020」によると、テレワークにより通常勤務より長時間労働になったと回答した割合は半数超の51.5%でした。1年以上たって状況が改善していると期待したいところですが、相談者さんのように感じる人は多そうですね。
上田:昭和の時代と違って携帯電話もあるし、仕事を遮断するのがどんどん難しくなっているのは間違いない。ただし最終的には、オンとオフの切り替えは自分自身で決断するしかない。会社がしてくれるわけでも、取引先が気を利かせてくれるわけでもない。結局は気持ちの問題に行きつくんだよね。
相談者さんはテレワーク以前、終業時間が来たらきっぱりと仕事を遮断できていたんでしょう。「会社を出てしまったので明日対応します」というのは言い訳ではなく、立派な理由じゃないかな。自宅にテレワーク用のパソコンがあっても、シャットダウンしてしまえばいいんですよ。
小笠原:思い切った行動ですね。
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