上田準二さんの「お悩み相談」。今回はキャリアプランに悩む35歳の男性から。7年待って希望の仕事ができるようになったタイミングで、好条件の転職オファーが舞い込んできたといいます。上田さんは「得意技を生かしてステップアップした方が、会社員としての選択肢が広がる」と助言します。

※読者の皆様から、上田さんに聞いてほしいお悩みを募集しています。仕事、家庭、恋愛、趣味など、相談の内容は問いません。ご自由にお寄せください。

>>悩みの投稿<<

悩み:経理部門から今年の4月に異動し、学生時代から好きだったイベント企画に携われるようになりました。そんな矢先、年収が100万円増えるという好条件の転職オファーが舞い込みました。好きな仕事を続けるべきか、キャリアアップに挑むのか。どちらがいいでしょうか?

  ある大手企業系列のイベント会社に勤めています。学生時代から好きだったイベントの企画に仕事で携われるならと思い、それまで3年間勤めていた金融機関から転職しました。しかし「金融機関にいたなら、お金のことは大丈夫だよね」という分かりやすい道理で、いきなり本部に配属され、会社全体の財務経理を7年間統括しました。今年の4月ついに事業部へ異動し、8年目にして初めて入社時のイメージや気持ちと近い仕事をしています。

 そんな矢先、とある会社から「今までの経験を生かして、うちで財務経理として働かないか」と声をかけていただきました。その会社は前職・現職とは全くの異業種ですが、年商や従業員数の規模は現職の倍以上。提示を受けたポストも現職の一段階上で、年収も100万円以上増えます。典型的な「キャリアアップ」に見えるだろうなと思います。

 一方で現職は、自分より上のポストは大部分が親会社からの出向者で占められ、既に上がりが見えつつある状況です。とは言え、好きを仕事にしている充実感があることも事実です。

 今の部署に来てまだ半年ということもあり、あくまでこれからも好きを貫くのか、認めてもらった得意技を外で発揮していくのか、どちらがよいのだろうか……と揺れ動いています。上田さんならこんなとき、どのような考え方をされるのかなと思い、投稿しました。

(35歳、男性、会社員)

上田準二:僕だったら誘いに乗って転職するかな。

小笠原啓(日経ビジネス編集):今回は結論が早いですね。投稿された男性にとっては、一生を左右する問題ですよ。

上田:あくまでも、僕だったらどうするか、という話だよ。でも投稿された文面を読む限り、相談者さんの気持ちも何となく決まっているのではないかと思うんだよね。

 最初に考えたいのは、相談者さんの仕事の能力を評価して誘ってくれた企業があるということ。未経験業種への転職になるにもかかわらず、上級ポストを用意してくれて年収も100万円以上増えるなんてオファーは、このご時世では珍しいでしょう。

 今の会社で出世して報酬が増えていく可能性があるならいいけれど、親会社からの出向者が頭を押さえているんでしょう。好きな仕事ができるからといって、会社員人生の先が見えた状況でモチベーションを保てるのかどうか。個人的には疑問だね。

 会社員としてのやりがいを考えるなら、自分が最も能力を発揮できて評価され、ステップアップの選択肢がある道を選んだ方がいいと思う。財務経理という分野で得意技を持っているなら、転職先でさらに上を目指せる可能性もあるだろうしね。

小笠原:イベント企画がやりたくて転職し、7年間待ってやっとつかんだチャンスです。別の道に進むのはもったいない気がします。

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