上田準二さんの「お悩み相談」。今回は48歳の管理職男性から。現場一筋で働いてきた人が管理部門に異動したことで、仕事に対する向き合い方が変わったのでしょうか。将来に不安を抱き、転職を考えていると言います。上田さんは「中年の危機を乗り越えるには、一度、人生をレビューする必要がある」と助言します。

※読者の皆様から、上田さんに聞いてほしいお悩みを募集しています。仕事、家庭、恋愛、趣味など、相談の内容は問いません。ご自由にお寄せください。

>>悩みの投稿<<

悩み:これまで一貫して工場の技術部門で働き、昨年、管理部門に異動しました。そつなく仕事をこなせていると思うのですが、この先どうなるのかが不安です。大手よりむしろスモールカンパニーに憧れる気持ちもあります。転職を考えるべきでしょうか。

 自動車系メーカーに勤める48歳です。これまで2度の海外赴任を経て、一貫して工場の技術部門で設備技術業務に携わってきました。昨年より管理部門へ異動となり、以降、管理業務に加え、新たに業務再編された部署の兼任課長など、多様な業務をまとめて管轄することになりました。役職者として役員の対応や、人事、また新たに加わった現場系の部署、システム系チームなどの兼任、そつなくこなしているとは思います。評価も悪くありません。便利な存在なのだと思います。

 しかしこの先どうなるのか不安です。今のストレスを考えると工場のトップを目指す気持ちもありませんし、現在の大手よりスモールカンパニーに憧れてしまいます。この状況はやはり転職を考えるべきでしょうか。

(48歳、男性、会社員)

上田準二:久しぶりにぜいたくな悩みだね。海外赴任を2度経験し、ジョブローテーションの一環として社内で重要な部署を歴任している。与えられた仕事はそつなくこなし、上司の評価も高い。相談者さんは恐らく、この会社で偉くなっていくんだろうね。

小笠原啓(日経ビジネス編集):絵に描いたようなエリート社員でも、心の中にはうかがい知れない葛藤があると。

上田:人間のストレスや悩みは、会社内でのステータスとは無関係だからね。

 だいたい会社人間というのは、入社してから30歳を迎えるまでの間に、一度は「辞めたい」と本気で悩んだことがあるはずです。今いる会社は自分に向いているのか、別の職場ならもっと活躍できるんじゃないかと考えて、不安やストレスに悩むようになる。そして一部の人は実際に転職したり、別の世界に進んだりする。

 その次の波は45~50歳の間にやってくる。平均以上の能力があってこれまで大過なく会社員人生を過ごし、高い評価を受けている人でも関係ない。脂が乗りきった年齢であるにもかかわらず、仕事に対するやりがいやモチベーションが感じられなくなって、転職などを考え始めるようになる。

小笠原:相談者さんの場合は、プレーヤーからマネジャーになったことで戸惑っているようです。上田さんもそういうタイミングで思い悩んだことはありましたか?

上田:全くないね。僕はいくつもの会社を経験して、最後はファミリーマートだったけど、管理職だとか実務者だとか意識したことは一度もないんですよ。常にプレーイングマネジャー。社長時代も経営のトップというより、現場の最高指揮官という意識だったかな。そうあらねばならないと思っていたわけでも、そう頼まれたわけでもない。純粋に楽しかったんだよね。

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