上田準二さんの「お悩み相談」。今回は定年後再雇用を経て、「2度目の定年」を間もなく迎える64歳の男性から。メーカー勤務で様々な仕事に取り組んできましたが、人材が育ちきっていないのが心残りだとか。上田さんは「リポートの形で提言をまとめ、社長に渡しておこう」と助言します。すっきりした気持ちで辞められるのでしょうか?

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>>悩みの投稿<<

悩み: 定年後に「再雇用」されて同じ職場で働いていますが、65歳の「2度目の定年」を間もなく迎えます。心残りなのは、人材が育ちきっていないこと。愛着のある仕事場をよりよくして去るには、どうすればいいでしょうか?

 メーカーに入社以来ずっと設備技術を担当し、問題点の把握から人・機械設備・材料など気づいてみれば様々な業務に携わってきました。一度定年して、再雇用として働いています。本年65歳となるので2回目の定年を目前にしていますが、心残りがあります。工場長を含めた人材が育ちきっていないのです。

 問題は2つあります。まずは合理化のために分業を進めたため、各部門の管理者・スタッフが完全に独立しており、工場長も含めて総合的な観点に立った判断ができないことです。

 もう1つは教育不足。管理職は忙しくて時間がなく、部下を育てる余裕がありません。年功序列だけで昇進した者も多く、品質関連のクレームや現場でのけがが頻発している状況です。一生懸命に毎日仕事をするだけで、振り返って原因を追究してこなかったからかもしれません。残り少ない現役生活を、どう過ごせばいいでしょうか?

(64歳、男性、会社員)

小笠原啓(日経ビジネス編集):就職してから恐らく40年以上。現場一筋で過ごしてきた方が引退するときの感慨はひとしおなのでしょうね。

上田準二:投稿された文面から会社に対する愛が読み取れるよね。思いが深いからこそ心配になるのでしょう。既にリタイアした僕からは、2つの助言を差し上げたいと思います。

 まずは残りの期間、与えられたミッションを確実に日々遂行していきましょう。長い間、この会社でこつこつ一生懸命頑張ってきたのです。会社員生活をきれいに全うすることが最も大事。まあ、改めて指摘するまでもないでしょうけど。

 もう1つは、このお悩み相談に投稿されたような会社の課題をリポート形式でまとめておきましょう。お勤めの会社は社長から現場の社員まで、みんなの顔が分かるような規模なんだよね。

小笠原:1000人以下とのことなので中堅・中小企業ですね。(注:お悩みの投稿時には企業規模についても記入していただいています)

上田:みんなの顔が見える中でやっていると、現状を追認する傾向がどうしても強くなってしまう。そうした環境では相談者さんが唯一、しがらみから外れて物事を客観的に整理できる立場にあるのかもしれない。善悪や効率の良しあしを主観的に評価するのではなく、会社の発展につながる情報をまずは抽出してみてはいかがでしょう。恐らく社長さんや経営陣も、そうした意見を待っているのではないかな。

続きを読む 2/2 立つ鳥跡を濁さず、美しく去るにはどうするか

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