上田:弁護士や税理士までは望まないけれど、法律や税務に詳しい人が来ると思っていたのかな。その分野の専門性を、短期間で身につけるのは難しい。もしそうだったら、早い段階で上司に対して異動希望を出す道を選んだ方がいいだろうね。
今のポジションはちょっとミスマッチだと思うので、元のセクションにもう一度戻すか、それとも他部署に配置転換してほしいと言ってみたらどうかな。上司も相談者さんのせいではなく会社の責任だと認めているぐらいだから、悪いようにはしないでしょう。
ミスマッチの解消は「逃げ」ではない
小笠原:上田さんも人事のミスマッチを経験しましたか。

上田:もちろんだよ。会社員なら避けては通れないからね。あるときは期待されて引き抜かれたんだけど、能力、性格、感覚の全てが合わなかった。上司も早々に分かったらしい。「私がここにいると、会社にとって不利益になります。早く元の部署に帰してください」と言うと、すんなり希望を聞いてくれた。
小笠原:具体的にどんな職場だったんですか。
上田:あんまり聞かないでよ(笑)。まあ、元いた部署でそれなりに評価されていたし、人並み以上に業務をこなしていたからスムーズに進んだという面はあるよね。
小笠原:新設部署が立ち上がってすぐに異動希望を出すと、角が立たないでしょうか。社内の各部門から優秀な人が選抜されたのだとすると、逃げたように見られるのももったいない。
上田:周囲の人がどう見るかを気にしても仕方ないよね。人事のミスマッチだということは上司も含めて分かっているんだから、能力が無いと見なされることはないはずだ。大きな会社にお勤めのようだから、それほど待たずに配置転換の話があるんじゃないかな。
ただその前に、自分に課せられたミッションをこなせるよう、求められる水準に到達する努力を一度はしてみないといけない。何もしないで文句だけ言う人だと認識されるのだけは避けないとね。自ら努力を惜しまない人は、必ず誰かのサポートを受けられるようになっている。明日にでも「半年は必死で頑張ってみる」と宣言したらいいんじゃないかな。上司の見方も、職場環境も変わってくると思いますよ。
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