上田準二さんの「お悩み相談」。今回は、DXの担い手と期待されて転職した43歳の男性から。事業転換が全社方針になっているにもかかわらず、昭和の時代から続く社風がハードルになっているようです。上田さんは「日本企業の多くは同じ状況だ。転職するよりも、今の会社で腰を据えて取り組もう」とアドバイスします。

※読者の皆様から、上田さんに聞いてほしいお悩みを募集しています。仕事、家庭、恋愛、趣味など、相談の内容は問いません。ご自由にお寄せください。

>>悩みの投稿<<

悩み:サービス事業者への転換を進めるメーカーに、IT企業から転職しました。会社方針は明確なのですが、昭和の時代から続く仕事の進め方や社風を変えられず、転換はうまくいっていません。今のやり方を続けて変化を待つべきか、社内で同志を募るべきか、はたまた転職すべきなのか。どうすればいいでしょうか?

 モノ売りが主力の製造業に勤めています。デジタル化の波を受けて今後の売り上げが落ちていくことが予想されているため、会社としては製造業からサービス事業者へ舵(かじ)を切る方針を掲げています。この方針を受けて、外部からサービス事業の経験者の採用を進めており、私もIT企業から転職してきました。

 しかし、昭和の時代から染みついた文化や仕事の進め方が一朝一夕に変わることは難しく、サービス事業者への転身はうまくいっていません。私以外も含めたサービス事業経験者があるべき姿の提案をしても、これまで製造業の枠内で成功を収めてきた上位層には理解し難いようでなかなか同意が得られず、変化は亀の歩みです。そんな状況なので主力事業の売り上げや利益も減少し始めています。

 こういう状況でどう動いたらよいか悩んでおりアドバイスいただけますと幸いです。ご参考までに以下、私が考えている選択肢です。

  1. 長期戦で理解を求める活動を継続する。(モチベーションが続かず転職してしまう人が多い。売り上げが落ち始めたのでタイムオーバーしてしまった感もある。)
  2. 同じようなスキル・思いを持つメンバーを集めて全社組織として本部にまとめる。(弱者連合になる可能性あり。どの役員と相談したらよいのか判断が難しい。)
  3. 新天地を求めて転職。(ITのバックグラウンドがあるので必要としていただける会社は見つかると思いますが転職先で再度同じような状況にはなりたくない。)

(43歳、男性、会社員)

上田準二:最近は、どの会社もDX、DXって唱えているよね。僕がファミリーマートの社長だった頃、日経ビジネスは「IT革命」とか「eビジネス」「バーチャルとリアルの融合」などと言っていた記憶があるけど。

小笠原啓(日経ビジネス編集):はやり言葉を作り、それに乗っていく腰の軽さがメディアの特徴ですからね。「デジタルトランスフォーメーション」なら16文字、「デジタル変革」でも6文字費やすところを、「DX」ならアルファベット2文字で済む。便利な言葉ですよね。使い過ぎているので、そのうち飽きられると思いますが。

上田:いずれにしても、この会社の経営陣は問題の本質は理解できているんだと思うよ。昭和のやり方を続けていると、デジタル社会で生き残れない。だからこそ、相談者さんのようなエキスパートを採用してサービス事業者への転換に挑んでいるわけだ。

 そういうミッションを受けて中途採用されたわけだけど、周囲の幹部や同僚の理解が想定以上に深まらない。これが今回の相談だよね。だから現状を変えようとして3つの選択肢を示してくれたと。

小笠原:地道に理解を求める、社内で仲間をつくってアピールする、新天地を求める。さて、どうしましょう。

続きを読む 2/2 デジタル化の鍵は、とにかく社長を説得すること

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