上田準二さんの「お悩み相談」。今回は、父親とのふとした会話に違和感を覚えるようになった30代の女性から。新型コロナウイルスのワクチン接種を拒否すると言い始め、政治的な陰謀論も口にするようになったとか。上田さんは「威厳ある父親を演じたいだけ。対等な大人として付き合おう」とアドバイスします。

※読者の皆様から、上田さんに聞いてほしいお悩みを募集しています。仕事、家庭、恋愛、趣味など、相談の内容は問いません。ご自由にお寄せください。

>>悩みの投稿<<

悩み:最近、父とのふとした会話に違和感を覚えるようになりました。新型コロナのワクチンを接種しないと言い出し、政治的な陰謀論なども口にするようになってきました。外でも同じような発言をして、周囲から白い目で見られていないか不安です。

 父の新型コロナなどへの考えに不安を感じています。父は現役で仕事をしており、それなりの社会的地位を持っております。普段は朗らかで家族仲も良く、私は両親共に尊敬しているのですが、最近、ふとした会話に違和感を覚えるようになりました。新型コロナのワクチンを打たないと言い出したり、政治的陰謀論めいた話もしたりしています。私自身あまり知識が無いため、否定しても言い負かされてしまいます。言い合いになるのも嫌なので最近はもうその話題には触れないことにしましたが、心配です。

 普段の振る舞いを見ても、あちこち出掛けたり、その割に外から戻っても手を洗わず不用意に顔を触ったりしています。いつ新型コロナに感染して命を落としてしまってもおかしくないと、不安でいっぱいです。自信家な性格なので、外でそのような内容を話し、周囲に白い目で見られているのではないか、という心配もあります。親戚にやんわりと諭されているようです。娘としてどう対応すればいいのか、本当に悩んでいます。尊敬している父に幻滅したくない、失いたくないという思いです。

(30歳 女性 会社員)

上田準二:この方は本当にお父さんが好きなんだね。お父さんも恐らく、ものすごくあなたのことを愛しているのでしょう。食事しながら世間のニュースについてムスメと語り合うなんて、息子しかいない僕からすると本当にうらやましい。漢字の「娘」ではなく、あえて片仮名の「ムスメ」を使ったけど、このニュアンスの違い、小笠原君には分かるかな。

小笠原啓(日経ビジネス編集):うまく説明できませんが、なんとなく分かりますね。10歳の息子と8歳の娘を持つ父親としては、ダメだと思いつつ本能的に娘の肩を持ってしまう。あと、片仮名のムスコを使うと別の意味に取られかねないので……。

上田:その続きはコロナが収束したら居酒屋で話そうか(笑)。

 とにかく、このお父さんはあなたがかわいいあまり、余計なことを言ってしまうんですよ。ムスメが大人の女性になったかどうかは関係ない。ムスメの言うことが正しくて、自分が間違っていると心の底では分かっていても止められない。何でも知っている格好いい父親を演じたいのでしょう。

 何を隠そう、僕自身がそうだったから。息子が10歳ぐらいになると、テレビのニュースを見ながら政治経済や海外情勢についてあれこれ言い始めるよね。それに対して、特に晩酌でアルコールが入っていたら「まだ子供だから理解できないだろうけど」と、偉そうな講釈をたれてしまうわけです。

 そういうやりとりを続けていくうちに、徐々に息子が成長して言うことが論理的になってくる。内心では息子の言っていることが正しいと思いつつも、理屈で打ち負かされる自分の姿を認めたくなくて、意地になって反論するようになる。

続きを読む 2/2 ムスメに説教される父親は幸せだ

この記事はシリーズ「お悩み相談~上田準二の“元気”のレシピ」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。