上田準二さんの「お悩み相談」。今回は自分が燃え尽きてしまったのではないかと悩む40代管理職から。海外駐在を夢見てがむしゃらに働き、実現したのはよかったものの、次の目標が見えないと言います。上田さんは「十二分にやった達成感があるなら、一度リセットしてもいいのでは」と助言します。
※読者の皆様から、上田さんに聞いてほしいお悩みを募集しています。仕事、家庭、恋愛、趣味など、相談の内容は問いません。ご自由にお寄せください。
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悩み:海外駐在を夢見て大手メーカーに入社しました。念願かなって実現しましたが、次の目標が見えなくなってしまいました。会社を辞めて新しい挑戦をしたいと考える一方で、交代要員のことを考えると踏ん切りがつきません。どうすればいいでしょうか。
日系の大手メーカーに15年強勤務し、数年前に昇進して今は海外勤務をしております。夢だった海外勤務が実現するまで14年を要しましたが、やっと願いが叶い、奮闘しながらも充実した日々を送ってきました。ただ、新型コロナをきっかけに在宅勤務が始まって考える時間が増え、今の仕事と生き方に疑問を抱くようになりました。海外赴任という夢に向かって突っ走り、実現した今、その先のキャリアを描けなくなったのです。 今の仕事はもう十二分にやったという感覚もあり、新たな世界で頑張ってみようと思っています。新しいことを学ぶのは大好きなので、興味があったIT関連業種への転職を考えています。ただし、今会社を辞めると自分のポジションに穴が開いてしまいます。コロナのため、後任の日本人社員が赴任するのは1年以上先になるためです。
残る現地メンバーに迷惑をかけるのは忍びない気持ちがありますが、転職願望は強くなる一方で、早く行動に移したいという気持ちと日々闘っています。どこかで行動を、と思っていますが踏ん切りをつけられずにいます。ドライに割り切るべきか、一定の区切りまでは辛抱して信頼を守るべきか。アドバイスをもらえれば大変ありがたいです。
(40歳 男性 会社員)
上田準二:後任が日本から来るので、夢だった海外赴任があと1年で終わってしまう。日本に帰国したらどんな仕事をして、次のステップは何なのかもうすうす感づいている。それが、自分のやりたい仕事ではないと推測できるからこそ、転職に気持ちが傾いている。こういう心理状態なのかな。
この方は今40歳。漠然と「新しいことをしたい」というのではなく、目標が明確で活躍の場が与えられそうなら思い切って転職すればいいでしょう。今の会社でやりたいことを十二分にやりきったという達成感があるのなら、ちょうどいいタイミングかもしれないね。
小笠原啓(日経ビジネス編集):文面からは義理堅い性格がにじみ出ていますね。立つ鳥として跡を濁したくない、というか。
上田:不始末を起こしたり会社に損害を与えたりしたのであれば話は別だけど、それがないなら義理立てする必要はないと僕は思うよ。1年後には後任の担当者がやってきて、あなたの仕事を引き継いでくれるんでしょう。会社に迷惑をかけるなんて気にしなくていい。
職業選択の自由は憲法で規定された権利なのだから、あなたが働きたい会社を選べばいい。能力が生かせて活躍できる会社を見つけたうえで、社風などをチェックするには1~2年かかるでしょう。今から積極的に転職活動を始めてもいいんじゃないかな。
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