上田準二さんの「お悩み相談」。今回は、社員30人ほどの会社に跡取りの娘婿として入社し、事業継承に取り組む34歳の男性から。トップダウンではなく社員が自律的に動ける会社に変革するにはどうしたらいいかと悩んでいます。上田さんは「対話を重視するあなたの方向性は正しい」としつつ、対話のコツを伝授します。

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>>悩みの投稿<<

悩み:社員30人ほどの 創業61年の土木建設会社に3代目娘婿として入社しました。今は専務として事業継承中ですが、トップダウンではなく、社員が自律的に動ける会社へと改革したいと考えています。社員との対話を重視しようと心がけていますが、どうしたらいいでしょうか?

 お世話になります。地域の土木建設会社で創業61年、3代目として事業継承中で社員数は30人ほどです(娘婿です)。専務取締役として、経営決定など全般を任されています。

 悩みですが、時代に合った企業として生き残っていくためには、トップダウンだけではなく第一線の現場で戦う社員が自発的に改善などを行える組織に変わらないといけないと思っています。そうしないと、変化の速い時代に乗り遅れてしまうと危機感を持っています。3年前に会社に帰ってきて、今までできていなかった人材確保や社内のデジタル化を進め、経営数字の開示などを通じて社員の計数感覚を養っている段階です。

 社員の技術力については歴史もあるので今後も磨き続けていけると思っていますが、組織として、社員一人ひとりの活動が受け身的で、会議をしてもアイデアがなかなか出ません。

 ありきたりの相談ではありますが、どのようにしたら社員が自発的に動ける組織に変われるでしょうか? 取り組みとしては、社員間情報共有システムを活用したり、現場に出向いて面談したり、コミュニケーションを意識的に取ることで、対話を重視した経営を心がけています。ご回答、よろしくお願いいたします。

(34歳 男性 会社役員)

上田準二:若くして跡継ぎになられたんですね。相談内容を読む限り、あなたは立派に専務としての仕事をなさっています。会社の将来に対していろいろとお考えになってる。社員が自発的に動ける組織にしたい、そのために現場に出向いて社員との対話を重視しているとのこと。今やっていることは必ず結果が出ると思います。がんばってほしいね。

 私もファミリーマートの社長時代、社長塾なんていうのをやっていました。全国の現場に出向いて、若手社員や若手管理職を数人ずつ集めて、会社の今後について現場はどう思っているのか、何をどうしたらいいと思っているのかなどを聞きました。その上で、本社に戻っていろんな経営戦略を練ったものです。

 話を聞くときにルールとして決めていたことの1つに、必ず1人1つは意見を言うこと。社長塾は、僕が社長という立場で社員に何か話をする場ではなくて、僕は皆さんの聞き役ですと。皆さんの耳になりますと強調していた。

大竹剛(日経ビジネス編集):社長主催の対話会などを実施する企業も少なくないと思います。特に、コロナ禍ではビデオ会議の仕組みが広がったので、やろうと思えば意外と気楽にそうした会を設定することができます。でも、社員の本音を聞き出すのは難しくないですか。

上田:立場が違うから、本音をどこまで言ってくれているのか分からないし、社員の側が身構えちゃうこともあるよね。それでも聞く姿勢を示すことが大事だと思うんですよ。

 必ず1人1つは意見を言うこと。それが大事です。話すのが苦手で、5分とか10分とか、ずっと話していられないという人もいるでしょう。それでもいいんです。

 1分話して、またちょっとたって、また1分話して、というのもで構わない。少しずつ話すことを思い出しながらでもいいから、1人がトータルで10分くらい話すことになれば、結果的に、その人がだいたい、どんな視点で会社を見ているのか分かるものです。だから、それを繰り返していると、会社の問題点がたくさん分かってくるんですよ。

 こういう会を繰り返していると、現場の社員から、「こうしたほうがいい」「会社はこうあるべきだ」といった提言も出てくるようになります。だから、1回や2回、パフォーマンスとしてそういう会を持つのではなくて、徹底的にやる。僕は社長時代に150回くらいやりましたよ。

 現場が出した意見が取り入れられたらモチベーションは高まるし、改革も進んでいきますよね。

 この方も、これからいろいろと改革をしていこうと考えるとき、「3代目の専務」という立場で上から目線の改革をやろうとしたら反発されます。改革は進んでいかないでしょう。

続きを読む 2/2 話を聞くからには、社員にも自覚を持ってもらおう

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