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上田準二さんの「お悩み相談」。 今回は、相対評価により同僚より評価を下げられてしまったと悩む34歳女性から。もともとアピールが下手で、ゴマすりがうまい同僚をみていると、仕事へのやる気も失ってしまうと悩んでいます。上田さんは、「評価を維持するためのゴマすりほどむなしい」と、気持ちを切り替えようと助言します。

悩み:会社が相対評価に移行したことで、同僚3人の中で私だけが評価を下げられてしまいました。もともと、上司へのアピールが下手なのですが、同僚のようにゴマすりを見習った方がいいのかと思うと、仕事にやる気が起きません。どうしたらいいでしょうか。

 いつも連載を拝見し、元気と勇気をもらっています。ありがとうございます。

 現在人事で働いています。先日上司から自身の人事考課のフィードバックがありました。仕事は年々増えており、自分では努力しているつもりだったのですが、今回は評価を下げられてしまいました。理由は私の仕事が地味で上司にアピールできないからです。職場には同じ役職の女性が他に2人いて、今回から相対評価になったことで、私の評価だけが下がっていました。

 今まで「自分は評価なんて気にしない」と思っていたのですが、今はすごくつらくて仕方がありません。アピールや主張が足りないと上司に言われましたが、正直不得意です。仕事後に講座に通うなどしてもっと勉強したいと前向きな気持ちだったのですが、努力しても無駄だとやる気が起きません。

 仕事は手を抜いていませんが、評価の良かった人が給湯室でサボっていたり、嫌な仕事や不得意な仕事をうまく人に押し付けていたり、そうした同僚の悪い所が急に気になるようになりました。

 ゴマすりをしている人のことを見習った方がいいのかな、と思ってしまうようになるなど、自分がおかしくなってしまったようです。いったいどうしたら、この黒い気持ちの状態から抜け出せるのでしょうか。

(34歳 女性 会社員)

大竹剛(日経ビジネス編集):自分のことをアピール下手と思っているようですね。それが原因で、人事評価の仕組みが相対評価になったことによって評価が下げられてしまったことをきっかけに、やる気を失ってしまったようです。

上田準二:これはね、あなたは人事部にいるからもうお分かりだと思いますが、相対評価という人事制度では、「よくできました」「普通に頑張りました」「もう少し頑張りましょう」という評価の分布が、それぞれ何割、何割、何割とだいたい決まっちゃうんです。

大竹:「絶対評価」という名目でも、実質的に運用で相対評価になっているケースも耳にします。

上田:部下の評価というのは、だいたいそうならざるを得ないんですよ。会社にもよるでしょうが、多くの場合、絶対評価というのはなかなか難しいものなんです。大竹さんも言うように、絶対評価と言いながら相対評価の側面はどうしても入ってしまう。評価者から、複数の部下を評価するのだから、それは仕方がない。しかも、複数の部下が同じ役職の場合はなおさらです。

 この方は、他に同じ役職の方が2人いるんですね。

大竹:そうです。

上田:その結果、あなただけ、評価が下がってしまったということですね。さあ、そうした状況の中で、どう生きるか。

 評価を下げられてふてくされてやる気がなくなった。このまま、この職場で働き続けていいものかという気持ちも湧いてくるでしょう。でも、転職したって、転職先でもまた相対評価かもしれないし、絶対評価でも相対評価の側面はどうしても入ってしまい、今回のような状況に直面することもあるでしょう。これまで、評価を気にしたことはなかったそうですが、長い仕事人生、組織の中で働いている限り、多かれ少なかれ、このような状況に直面するものです。

 今、あなたがやるべきことは、ちょっと評価が下がっても、楽しく、前向きに仕事に向き合えるよう、気持ちの切り替え方を学ぶことです。

 どんなことでもいいと思う。これまでより少しだけお化粧に凝ってみるとか、聴く音楽を変えてみるとか、毎日買うコーヒーをちょっと高級なものに変えてみるとか。ちょっとした笑顔が生まれるきっかけを考えてみるんです。そうすると、不思議なことに、職場の雰囲気や周りの人たちとの会話も、これまでより明るく見えたりするものです。まずはあなた自身、会社に行くモチベーションが高まるように行動してみませんか。

 そうした行動が積み重なっていくと、周囲からのあなたの評価も、「本当に元気に頑張っているな」ということになり、人事評価に影響するということも十分にあると思うんです。相対評価でランクが下がったからといって自分の気持ちが沈んでやる気がなくなってしまったら、それこそ損をしてしまうよ。過去の評価のことは一旦忘れて、気持ちをリセットして、いかに楽しく毎日会社に行くかを考えてみましょう。

大竹:アピール上手の同僚からゴマすりの仕方を見習うより、まずは自分の気持ちをリセットすることですね。

上田:そうです。気持ちが落ち込んでいるときにゴマすりを見習おうとしても、同僚がどんなことを上司に言っているのかということばかり気にするようになって、ますます気持ちが落ち込んでいくよ。

 だから、そんなことはもう無視しましょう。とにかく、どうやったら会社に楽しく行けるようになるか。それを考えることです。